2018 Fiscal Year Annual Research Report
Data-Driven Learning applied to English grammar learning at elementary school, junior and senior high school
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16H03441
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西垣 知佳子 千葉大学, 教育学部, 教授 (70265354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 朋世 千葉大学, 教育学部, 教授 (00341967)
中條 清美 日本大学, 生産工学部, 教授 (50261889)
物井 尚子 (山賀尚子) 千葉大学, 教育学部, 准教授 (70350527)
小山 義徳 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90546988)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語教育 / DDL / データ駆動型学習 / 英文法 / 気づき / 帰納的学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は以下のことを行った。 1) DDLの学習指導に関する研究: 中学2年生を対象として,DDL文法学習をしたDDL群と教師の説明を聞いて文法事項を学んだ通常群について,「未習の英文を見て,文法規則を発見する力」を比較した。その結果,DDL群では「文法規則の発見力」がより良く育っていたことを検証した。また,小学6年生が英語の文法規則を帰納的に学ぶ際に用いるメタ言語を調査した結果,児童が国語科で学んだ文法知識を英語の学習に活用,適合させて英語のルールに気づき,学んでいることを確認した。 2) 「DDL支援サイト」の開発と一般公開: 小学校外国語の教科化が2020年に迫っていることから,2018年度は小学生用DDL支援サイトを中・高生用に先駆けて開発した。まず,2017年度までに入門期用の英文を集めた2,500万語からなる「参照コーパス」を作成したことから,これを検索する「用例検索ツール」を開発し,作業効率を向上させた。このツールの特徴は, (1)短い英文から順番に検索結果を表示する,(2)英文の長さを指定して検索できる,(3)表層形に加え,レマや品詞を指定して検索できる点である。また,DDL支援サイトには,英語のルール発見に導く英文の提示が不可欠である。そこで,英語母語話者と日本人が協力して英文の長さ,語彙・文法のレベル,内容・トピックなどに配慮して英文を選定・修正し,さらに著作権の問題をクリアしたうえで,日本語の対訳を付与した。その後,小学校教師の意見を集め,小学生が使いやすいようにサイトの動作設定を行い,2019年3月に一般公開した。 3)DDLの普及活動: 英語コーパス学会のDDLシンポジウムで発表した。また「言語と学びラボ」研究チームを立ち上げ,小学校から大学までの英語指導者を集めてキックオフ集会を開き,DDLに関す研究成果を報告し,支援サイトを紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下に示す進捗状況から,本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。 1) DDLの学習指導に関する研究: 本研究課題のこれまでの成果から,DDLが英語学習における「文法知識の理解」,またその「記憶の保持と定着」に効果があることを確認してきた。2018年度には,DDLをとおして,「英語のルールを発見する力」が学習者に育っていることを確認した。また,学習者がDDLをとおして文法知識を理解する際の思考の様子や方法を調査した結果,日本語の文法知識を英語の学習に活用・適用していることを確認した。このことから,英語科と国語科の連携の可能性と必要性を認識し,その方法の検討を始めた。 2)「小学生用DDL支援サイト」の第1次一般公開: 2017年度には小学生用DDL支援サイトのプロトタイプを開発し,その後改良を加えて第1次一般公開をした。改良したサイトでは,英文用例数が増え,英文検索の方法が容易になり,英文の発音を確認できるようになった。このため英語の発音に不安のある小学校の学級担任にとってDDLを授業に導入しやすくなった。また児童は自分のレベルに合った多数の英文に触れられるようになった。 3)DDLの普及活動: 日本ではDDLの知名度は高くない。そのようななか,英語教育雑誌でDDLの特集が組まれ,本研究課題のメンバーが分担してDDLの理論,実践,DDL支援サイトの紹介をした。また,英語コーパス学会のシンポジウムに登壇し,小学生用DDL支援サイトを紹介した。さらに,英語教育,英語学,日本語学,認知心理学等の研究者と,小・中・高校の英語教師が集まり「言語と学びラボ」研究チームを立ち上げ,キックオフ集会を開催した。DDLの普及体制の基盤は整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度の推進予定と方策は以下のとおりである。 1) 中学生用・高校生用DDL支援サイトの開発と公開: 2019年の夏を目途に,中学生用・高校生用DDL支援サイトのプロトタイプを開発し,1次公開を目指す。まず,参照コーパス(2016年,2017年に構築済み)から,中学生・高校生に適切なレベルの英文用例の抽出作業を行う。次に,英語母語話者と日本人英語教師が協力して,抽出した英文の長さ,語彙レベル,テーマ・トピック等に配慮し,authenticity を保ちながら用例の改定を行う。このことにより著作権の問題を解決し,最後に日本語対訳をつける。 2) ウェブサイト「DDLスタディ」の開設:DDLの手法を取り入れた,小・中・高・大一貫型の英語学習を実現するためのDDL学習サイト「DDLスタディ」(仮称)を作成する。本サイトは,小・中・高・大のDDL支援サイトを統合するもので,ひとつのページを入口として,自分のレベルに応じて自由に支援サイトを選んで無料で利用できる。「DDLスタディ」にはDDL検索ツール,学習指導用のワークシートと指導マニュアル, DDLの手法を紹介する映像資料などを搭載する。なお,ウェブ搭載の各種資料はダウンロードして使えるようにする。 3)DDL学習指導に関する研究: 「DDLスタディ」に搭載する指導用ワークシートは,実際に授業で使っていただき効果を検証する。あわせてこのワークシートの修正を行う。 4)普及活動: ウェブサイト「DDLスタディ」を活用する実践授業を「言語と学びラボ」のメンバーである英語指導者の学校・地域で実践する。また,シンポジウムとワークショップを定期的に開催し,教員免許更新講習,免許法認定講習,教育委員会や民間の英語研究会等でDDL学習指導の方法を紹介する。さらに,DDL実践の成果を国内・国外の学会で発表する。
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