2016 Fiscal Year Annual Research Report
The reconsideration of European Jacobinism: A comparative study of 'Republic with King'
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16H03499
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中澤 達哉 東海大学, 文学部, 准教授 (60350378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 和彦 立正大学, 文学部, 教授 (90011387)
森原 隆 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70183663)
小山 哲 京都大学, 文学研究科, 教授 (80215425)
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
池田 嘉郎 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80449420)
古谷 大輔 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (30335400)
阿南 大 東洋学園大学, 東洋学園教養教育センター, 特別講師 (50600904)
小原 淳 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20386577)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジャコバン主義 / 共和主義 / 政治思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度にあたる平成28年度は、以下の3つを軸に研究を進めた。 ①国際比較研究の基盤となる方法論的な分析枠を構築するために、研究代表者・研究分担者はまず個別に以下の作業を行った。A)ジャコバン主義に関する各国の最新の先行研究の収集・整理とその批判的検討およびB)ヨーロッパに広がるジャコバン・ネットワークに関する研究文献の整理とその批判的検討である。 ②個別的な実証研究を進めるための一次史料を収集しその分析を開始した。当該年度はおもに各国ジャコバン主義の「王のいる共和政」論の検証を行った。特にレスプブリカ論を中心に、ジャコバン主義のヨーロッパ史的系譜を確認した。また、ジャコバン主義者間の接触およびジャコバン・ネットワークの機能に関しては、スロヴァキア科学アカデミー歴史学研究所主任研究員のEva Kowalskaとプラハ・カレル大学哲学部准教授のDaniela Tinkovaの著書をもとに分析を進めた。この結果、非フランス世界のジャコバン主義は、ロベスピエールとの接触だけでなく、カント哲学からの思想的影響も頗る大きかったという事実が判明した。 ③当該年度は「王のいる共和政」およびジャコバン・ネットワーク研究の進捗と知見をすべての研究者が共有し、各国の事例を比較検証するために、平成28年5月と平成29年3月に、東京で1回、和歌山で1回の研究会を開催した。まず各国でジャコバン主義という語がどのように使用されていたのか、その様態を把握・共有することに専念した。これと関連して、平成28年10月には国際シンポジウム“The role of boundary mechanisms and symbolic resources in nationalism”を共催し、より一層この議論を深めた。また、平成29年3月の和歌山での研究では、上記のKowalska氏とTinkova氏を、今年9月開催の国際シンポジウムに招聘することを決定し、その詳細な計画を練った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各自必要な史料を蒐集し読解に努めた。この結果、非フランス世界のジャコバン主義の実態が徐々に明らかになりつつある。例えば、ドイツ・オーストリア・ハンガリー・スウェーデンのジャコバン主義における「王のいる共和政」論と「王のいない共和政」論の混在、さらに世襲王政の共和国論を確立するにあたってのカント哲学の役割を解明した点において、従来のジャコバン主義研究史にみられない進展がみられた。たとえば、18世紀末以降のスウェーデン王国を「ジャコバン主義の王国」と理解する説の提唱は、本科研初年度の大きな成果といえよう。 もとより、本科研がめざす「王のいる共和政」の国際比較によるヨーロッパ・ジャコバン主義の再検討は、単に環大西洋革命論の拡張に留まるものではない。周知のように、1970年代から90年代にかけて日欧の歴史学界に登場した社団国家論・複合国家論・礫岩国家論は、従来の近世国家像に大いなる変容を迫った。伝統的な絶対王政論が相対化されたのであるから、絶対王政の存在を前提としてこの絶対王政に対置する革命思想として解釈されてきたジャコバン主義も再検討されて然るべきである。フランス革命やアメリカ独立革命(環大西洋革命)で示された共和主義の言説が各国政体に受容される過程と各政体を構成する諸階層の対応を比較する際に、ジャコバン主義は近代ヨーロッパ全体を包括的かつ斬新に比較検討するための分析概念としてきわめて有用なのである。この文脈において、上記の研究成果は意義深く、本研究は順調に進展していると結論づけられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目の平成29年度は以下の要領で研究を遂行する。 ①個別的な実証研究を進めるための一次史料の収集とその分析を継続する。前年度中に確立された方法論的な分析枠に基づき、当該年度はおもに各国ジャコバン主義に対する近世複合的国家編成の影響分析およびジャコバン・ネットワークの機能分析、同時に当該テーマの研究文献の収集を行う。 ②当該年度は各国ジャコバン主義に対する近世複合的国家編成の影響分析の進捗と知見をすべての研究者が共有し、各国の事例を比較検証するために、平成29年7月および平成30年3月に東京と大阪で各1回の研究会を開催する。 ③現在連携中のヨーロッパの研究者2名を招聘して、9月に東京で国際ワークショップを開催する。このワークショップは、現地研究者の先端的知見に学ぶだけではなく、現地研究者が専門外とする地域を研究対象とする本科研メンバーの知見をもって、現地研究者に対して日本側からジャコバン主義の総合的再検討への議論を新たに提言する目的で実施される。 研究3年目(平成30年度)および最終年度(平成31年度)も、各自分析を進めていくが、30年度にはヨーロッパでの国際ワークショップの開催を計画している。また、31年度には、外国研究者2名を招聘し、総まとめとして東京で国際シンポジウムを開催する予定である。
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Research Products
(33 results)