2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Social History of the "Blue Vienna": A Critical Approach for Globalisation from "below"
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16H03500
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
水野 博子 明治大学, 文学部, 専任准教授 (20335392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 弘明 千葉大学, 国際教養学部, 教授 (20211823)
木村 真 日本女子大学, 文学部, 研究員 (20302820)
江口 布由子 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (20531619)
鈴木 珠美 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (20641236)
藤井 欣子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (30643168)
古川 高子 東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (90463926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 移民 / ウィーン / ユーゴスラヴィア / ブルガリア / ルーマニア / バルカン / 新自由主義 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、現地調査を中心に研究を進めた。 1. ウィーンに定住化した「移民的背景を持つ人びと」に関し、以下の要領で海外現地調査を行い、インフォーマント選定とインタビュー、及び関連する文献を調査した。まず、柴田暖子が2017年11月25日-12月3日まで、ナミビア共和国ウィントフックでのナチ党の活動と人びとの記憶に関する史料と聞き取り調査を行った。鈴木珠美は、2018年2月21-23日および3月15-23日にかけて、オーストリア国ウィーン市のウィーン市図書館、オーストリア国立図書館にて20世紀後半の同市行政に関する文献調査を実施した。また「ネットワーク形成」過程を解明するため、「移民的背景をもつ人びと」の団体の調査も行った。次に、木村真は、2018年2月23日-3月6日まで、パルヴォマイツィ出身のインフォーマントにインタヴュー及び参与観察を行うとともに、同インフォーマントを通してさらにルーマニア出身の労働者2名(ルーマニア人)、ボスニア出身のセルビア人2名、セルビア出身2名、他に滞在中のドイツからの技術者2名(ルーマニア出身でドイツ在住者)にインタヴューを行った。山崎信一は、2018年3月4日-3月11日までウィーンにおいて、旧ユーゴスラヴィア出身のインフォーマントに接触し、共生の技法についてのインタビューを行うとともに、関連文献の調査を進めた。 2.2017年度は二度の研究会を実施した。第1回目は2017年7月30日に東京で研究会を開催し、前年度までの研究の進捗状況の確認及び今後の進め方について協議した。次に、11月12日に第2回目の研究会を開催し、中間報告を行った。これらの成果をふまえて2018年度はさらに調査を進める一方、調査結果の分析を進め、2019年度中に論集を刊行する準備に取り掛かる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バルカンにルーツを持つウィーン定住者のなかから、インフォーマントを選定し、協力してもらうための下準備がうまく進行した。とくに、バルカン言語に精通するメンバーがウィーン市の歴史に精通するメンバーと協力して調査にあたったことから、人びとの生活実践について、通訳なしでインフォーマントの生の声を直接収録することができた。また、ウィーン市の新自由主義的な構造転換についても、文献、統計データ収集、街の景観の再編にかかるプロジェクトなどさまざまな観点から調査を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、ユーゴ系知識人コミュニティの生活実践についてさらにインタビュー調査を進めるともに、アフリカ系移民への接触を継続する。また、ブルガリア系及びルーマニア系移民のインフォーマントに引き続きインタビュー及び生業の場での参与観察を実施し、彼ら、彼女らのルーツをたどるとともに、新自由主義経済システムにおける移民労働(者)の位置づけを考察する。ウィーン市の構造転換についても現地調査を行い、移民―都市―グローバリゼーションを連続する問題系の中で捉えるための情報収集を行う。今年度は、本格的な聞き取り調査実施年度であるため、5~6名の現地派遣を見込んでおり、成果は、研究会開催を通して共有するとともに、論集の刊行に向けた準備を進める。
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