2017 Fiscal Year Annual Research Report
パブリック・ヒストリー構築のための歴史実践に関する基礎的研究
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16H03528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅 豊 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (90235846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 勝貴 上智大学, 文学部, 准教授 (90439331)
宮内 泰介 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50222328)
川田 牧人 成城大学, 文芸学部, 教授 (30260110)
加藤 幸治 東北学院大学, 文学部, 教授 (30551775)
西村 明 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00381145)
中澤 克昭 上智大学, 文学部, 教授 (70332020)
市川 秀之 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80433241)
俵木 悟 成城大学, 文芸学部, 准教授 (30356274)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民俗学 / 公共歴史学 / 歴史実践 / パブリック・ヒストリー / 公共民俗学 / public history / 歴史学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、研究メンバーは、まず個々のフィールドで生起しているパブリック・ヒストリーをめぐる歴史実践の展開と深化に不可欠な重要課題を、フィールドワーク・文献調査等により精査するとともに、理論研究を行った。加えて、各メンバーの個別研究を統合し、成果を発表するために研究会を3回開催した。その研究会はパブリック・ヒストリー研究会というかたちで基本的に公開とし、現代民俗学会等の学術団体と共催することにより社会への研究成果の還元に努めた。また、本研究を世界的な研究水準とすり合わせるために、国内学会のみならず海外学術集会等で発表、意見交換を行った。主たる研究実績は下記の通り。
○2017.4.6:北京聯合大学北京学研究基地・One Asia Foundation主催『北京学講堂:亜州文化共同体與首都比較』において「東亜文化共同体中的非物質文化遺産相関問題」と題して講演、○5.11~13:台湾文化部文化資産局主催国際シンポジウム『2017 亜太無形文化資産論壇-前瞻教育與当代実践』において「無形文化資産保存維護與公共民俗学:「共学」立場與方法之必要性」と題して講演、○5.20:現代民俗学会2017年度年次大会でシンポジウム「「民俗学」×「はたらく」-職業生活と〈民俗学〉的知」を共催、○7.7~10:第4回研究会「神代在住Oターン郷土誌家をめざして」、○10.15:第69回日本民俗学会年会で第5回研究会「パブリック・ヒストリー―歴史実践の民俗学―」パネル発表、○12.16~17:第6回研究会「『十三浜小指 八重子の日記』について語りあう」 ※研究会回数は前年度からの通算
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第1に、当該年度の研究活動により、パブリック・ヒストリーという世界的に大きな潮流になりつつある重要課題について対象化し、その新しい概念を先駆的に日本へともたらすことができた。その概念の斬新さは出版界などからも注目され、すでに本科研成果をもとにした出版に向けて執筆、編集の段階に到達している(勉誠出版から本科研最終年度2019年3月刊行予定)。 第2に、本研究は歴史学や民俗学(公共民俗学)を基礎とし、文化人類学、社会学、宗教学、文化遺産学等の、多彩な学際分野の知見を多く吸収できたため。本研究は狭く歴史学・民俗学的課題だけではなく、人文・社会科学のなかで脱領域的に問題化される重要課題であるといえる。 第3に、本研究の成果を中国などの海外学術集会で発表し、国際的な発信を活発化させることができたため。 第4に、日本民俗学会、現代民俗学会等の学術団体と共催で研究会を開催し、学会発表することにより、広く学術界に成果を還元すると共に、さらに公開イベントとすることによりアカデミックの外側(extra-academic)の人びとへも成果を還元できたため。これにより閉じた研究者の「仲間内」だけではなく、研究プロセスへの多様なアクターの参画を実現することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さらに本研究を深化させるため、前年度に引き続き、まず、本研究メンバーが、個々のフィールドで生起しているパブリック・ヒストリーをめぐる歴史実践を精査するとともに、理論研究も行う。次いで、各メンバーの個別研究を統合し、成果を発表するために、国内で研究会を開催する(2回開催予定)。これもパブリック・ヒストリー研究会というかたちで基本的に公開し、社会への研究成果の還元に努める。そこに各人の個別研究の成果を持ち寄り、議論を経ることによって、インタラクティブに成果を共有し、各人の研究にフィードバックする。さらに、これまでの海外での成果を吸収し、また、本研究を世界的な研究水準とすり合わせ、本研究の成果を海外へと発信するために、海外シンポジウム等で発表、情報収集を行う予定である。
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Research Products
(69 results)