2016 Fiscal Year Annual Research Report
専門家と専門知の発展から見た国制史の再構築--前近代の西洋と日本
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16H03535
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田口 正樹 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20206931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健 京都大学, 大学院法学研究科, 准教授 (70437185)
林 信夫 京都大学, 大学院総合生存学館, 特定教授 (40004171)
加納 修 名古屋大学, 大学院文学研究科, 教授 (90376517)
大月 康弘 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70223873)
小川 浩三 専修大学, 法学部, 教授 (10142671)
松本 英実 青山学院大学, 法学部, 教授 (50303102)
鈴木 直志 中央大学, 文学部, 教授 (90301613)
新田 一郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (40208252)
櫻井 英治 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80215681)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 専門家 / 専門知 / 国制史 / 西洋 / 日本 / ローマ / ドイツ / 法学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は研究初年度であり、まずは各自が改めて担当テーマの研究状況の把握と関係文献・史料の収集につとめ、それをふまえて具体的論点をしぼりこんでいく作業を行った。その過程で、2回の研究会を開催し、研究代表者から研究計画の概要とねらいを改めて説明するとともに、専門家・専門知と国制史という研究視角や、専門家の概念・特徴・広がりなどをめぐって意見を交わし、研究目的の共有につとめた。参加者からは各自の研究分野を背景にした専門家像が提示されたほか、特定の分野に限定されない有力者の重要性にも注意が喚起された。また何人かの研究分担者・連携研究者が、分担課題について中間的報告を行った。採り上げられたテーマは、「使用交換」を通して見た古代ローマ法学者の専門知、カッシオドルスによる描写を題材とした古代末期における法廷弁論の連続と断絶、ファルツ選帝侯領を事例とした近世ドイツの魔女裁判をめぐる専門知と支配の論理、朝河貫一の日本法制史構想を通してみた近代日本史学史における一般史と専門分野史の関係などであり、いずれについても分野横断的で活発な議論がなされた。 こうした作業と平行して、研究代表者はドイツでゲッティンゲン大学のマリアン・フュッセル教授と会談し、本研究の意図と概要を伝えるとともに、ゲッティンゲン大学の研究プロジェクト“Expertenkulturen des 12. bis 18. Jahrhunderts”の問題関心と近時の展開について説明を受け、非専門家の専門家に対する需要の条件や専門家同士の関係について詳細に意見を交換した。また来年度の国際研究集会に向けて今後さらに密接な協議を行うことを申し合わせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会での報告と議論を経て、本研究のねらいと計画について参加者の共通認識が深まるとともに、参加者からの意見や提案によって研究計画に新たな視点や広がりも加えられた。また、いくつかの個別テーマについて、検討が順調にスタートしていることが確認され、討論を通じて報告者担当のテーマ以外についても資するところが多くあった。来年度の国際研究集会に向けて、ドイツ人研究者との協議も順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究がおおむね順調に推移したため、今のところ研究計画の大きな変更は予定しておらず、研究遂行上の困難な点も特に見出されない。平成29年度には、年度末にドイツ人研究者を招聘して国際研究集会を開催することを予定している。それに向けて、ドイツ側との打ち合わせや意思疎通を密に行っていくとともに、国内では必要ならメンバー以外の研究者も研究会に招いて研究の幅を広げるようつとめる。
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Research Products
(36 results)