2017 Fiscal Year Annual Research Report
Henry Thornton and Classical Monetary Theory: New Study in their Possibilities and in their Influence on Contemporary Monetary Economics
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16H03602
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
佐藤 有史 立教大学, 経済学部, 教授 (60288256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山倉 和紀 日本大学, 商学部, 教授 (10267007)
内藤 敦之 大月短期大学, 経済科, 教授 (40461868)
久松 太郎 同志社大学, 商学部, 准教授 (60550986)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経済学史 / 金融理論史 / 古典派経済学 / ヘンリー・ソーントン / デイヴィッド・リカードウ / 貨幣数量説 / 通貨と銀行業 / 中央銀行政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究の具体的内容ならびに研究の意義・目的との関連は以下のとおりである。 1.第81回経済学史学会全国大会にて3時間20分にわたるリカードウセッションを研究代表者(佐藤)が企画し,代表者によるセッションの総括報告と,3つの研究報告がなされた。このうち佐藤は,第1報告「リカードウのスミス批判:擁護」という表題でリカードウ『原理』出版200周年を記念する意義を報告した。他の2本は,リカードウにおける「課税の原理」誕生の意義」(若松直幸),「リカードウの比較生産費説の理論構造」(田淵太一)である。若松は,本科研費研究の研究協力者である。 2.International Workshop on Classical Monetary Theory at Rikkyo University 2018を2018年3月14日・15日の2日間にわたり立教大学で開催した。7本の報告からなり,うち4本は外国人招へい研究者によるもの,2本は佐藤(研究代表者)によるもの,1本は研究協力者によるものであった。 3.上の国際ワークショップを成功裏に開催できたことにより,サー・ジェイムズ・ステュアートから通貨論争に至るまで,多くの最先端の諸研究が展開され,近い将来における本科研費プロジェクトの成果の英文論集(仮題:Controversies in Classical Monetary Theory)の骨格となるべき諸研究が出そろい始めたと言ってよい。今年度の研究は,現代の金融が直面する諸問題を過去300年にわたり繰り返されてきた通貨・銀行諸論争から照らすことで新たな方向性を見出すという本科研費プロジェクトの意義と目的に向け,重要なステップを踏むことができたものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目はアメリカ合衆国からアダム・スミスの通貨と銀行の理論の気鋭の若手研究者を迎え,当該領域の最先端の研究状況を確認し合った。またフランスからはリカードウの通貨と銀行の理論の大家を迎え,古典派の通貨と銀行の理論の最先端の世界的研究状況を確認した。さらに,オーストラリアからは通貨論争の先端の研究者を迎え,通貨論争解釈の変遷と現状を確認し合った。研究代表者は,特にスミスならびにリカードウの通貨と銀行の理論について,日本の先端の研究状況を提示することで,日本の研究成果が高い水準にあることを示すことができたように思われる。そのうえで,以下のとおり,本研究はおおむね順調に進捗しているものと考えられる。 1.これで,二年間において招へい外国研究者はフランス2名,アメリカ合衆国2名,オーストラリア1名となり,このうち2年連続して来日してもらったオーストラリアの研究者とは密接な連携関係を築くことができている。今後3年間に招聘予定の新たな外国人研究者を加えると,国際水準をリードするこの領域での成果の英語論文集での取りまとめに大きく前進しえたといってよい。 2.いうまでもなく,この研究プロジェクトの研究代表者を含む日本人研究者のコアの3名は,毎年のワークショップでの報告に加え,経済学史学会等の全国大会での報告を着実に重ねてきており,今後の大きな諸成果の取りまとめを期待できるものとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,平成31年3月に開催予定の第3回国際ワークショップ(International Workshop on Classical Monetary Theory 2019 at Rikkyo University)において,古典派貨幣理論研究の世界的大家の一人アリー・アーノン教授をイスラエルから迎え,われわれの研究成果との対話を図る予定である。また,フランスからは比較的若手のリカードウおよび古典派貨幣理論の研究者C.ドポルテール准教授を迎え,リカードウの通貨と銀行の理論についての新たな研究方向を探る予定である。また,研究分担者の久松は通貨論争の中心人物の一人R.トレンズの研究者をブラジルから招聘することを予定している。その際,研究代表者および研究分担者3名の計4名は,それぞれ論文を用意し,ワークショップに十分に備えることとしている。
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Research Products
(11 results)