2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H03659
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
花枝 英樹 中央大学, 総合政策学部, 教授 (50103693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芹田 敏夫 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80226688)
胥 鵬 法政大学, 経済学部, 教授 (60247111)
佐々木 隆文 東京理科大学, 経営学部経営学科, 教授 (10453078)
鈴木 健嗣 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 准教授 (00408692)
佐々木 寿記 東洋大学, 経営学部, 講師 (10609738)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 配当政策 / 自社株買い / ペイアウト政策 / サーベイ調査 / 資金制約 / 現金保有 / 企業・銀行間関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年に実施した日本企業へのアンケート調査データを用いた分析結果が、「企業の資金制約-アンケート調査による分析-」『証券アナリストジャーナル』2016年、11月号に掲載された。本論文では、(1)企業規模は外部資金制約,特に社債発行に関する資金制約と関連している,(2)現金保有の多さは市場からの資金調達制約の強さを反映している一方,投資資金の逼迫感を緩和している,(3)銀行借入依存企業は市場からの資金調達制約が厳しく,相対的に金融制約が強い,(4)機関投資家による株式所有や社外取締役導入は、大企業では資本市場へのアクセスを改善させる,などの知見を得た. 「Bank Soundness and Cash Holdings: Evidence from a Bank-Centered Financial Market」では、銀行中心型の市場で銀行の健全性が貸出先企業の現金保有に与える影響を検証し、銀行の健全性の悪化は企業の現金保有額を増やすことが示された。またこのような現金保有の増加は企業の過少投資問題を緩和し、投資家からも高く評価されることが示された。これらの結果は予備的動機による現金保有を示唆している。 配当政策と自社株買いに対する意識、考え方を明らかにするために、われわれは2006年に上場企業を対象にしたサーベイ調査を実施したが、その後10年を経過し、リーマンショックや日本版スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コード策定など日本企業を取り巻く環境も大きく変化した。このような状況下で、果たして日本企業のペイアウト政策に対する意識、考え方は大きく変化したのであろうか。この点を明らかにするために、われわれは2017年1月に上場企業を対象に再度、サーベイ調査を実施した。回答企業は357社で、回収率は9.6%であった。基本集計結果をまとめ、回答企業に郵送した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査に対する回答企業数も概ね予想していた数を確保でき、今後に行われる回答データに基づいた分析においても、企業の意識や考え方について有益な結果を得ることができると期待される。 また、各分担者が進めている資金調達、ペイアウト政策、現金保有政策に関する実証分析もワーキングペーパーの形でまとめられ、国内、国外の学会で発表する成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2017年1月に実施されたアンケートにより回収された回答結果のデータをもとに分析を進め、ワーキングペーパーを完成させ、学会報告を行い、最終的には学会専門誌への投稿に繋げたい。 さらに、企業文化や企業理念が企業行動、財務政策に及ぼす影響を分析するために、われわれ研究グループが採用するアプローチを検討する研究会を2017年6月に開催する予定である。 また、各分担者が個別に、資本構成、配当及び自社株買いを含めたペイアウト政策、現金保有政策に関する実証分析を行い、国内、国外の学会で発表する計画である。
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