2017 Fiscal Year Annual Research Report
アジア発リバース・イノベーション:イスラーム圏と日本を中心として
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16H03660
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
櫻井 秀子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (60203345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中屋 信彦 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (20325559)
篠木 幹子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20398332)
潜道 文子 拓殖大学, 商学部, 教授 (60277754)
今井 雅和 専修大学, 経営学部, 教授 (80305391)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リバースイノベーション / イスラーム経営 / 社会的企業 / 日本的経営 / ワクフ型企業 / イラン / 中国 / トルコ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年も引き続き、先進国主導ではない資本主義とは異なる社会基盤からの転換をもたらすという意味におけるリバース・イノベーションを具体事例について調査した。イスラーム企業における交換と喜捨の混交経営のシステム、中国におけるイスラーム・ビジネスの展開、日本におけるソーシャル・イノベーション、非‐欧米近代型企業における比較劣位の優良企業について調査研究をすすめた。 具体的には、イスラーム企業については、イラン、トルコの経営者がビジネスにおいてどのような喜捨行為を行っているかについて調査を行った。中国については、蘭州のムスリム起業家に焦点を当て、そのネットワーク・ビジネスについて調査した。これらの調査から明らかになったのは、ビジネスに倫理性を付与するのではなく、倫理がビジネスに内在している点である。日本における社会起業家によるソーシャル・イノベーション(SI)の実態と意義については、日本の「地方創生」における社会起業家の役割や、SIの成功に影響を及ぼすと想定される「コミュニティ・キャピタル」について考察した。比較劣位の優良企業については、いくつかの新興市場のビジネス環境の進化と特定企業での特定の職能におけるグローバルとローカルの優れた結合方法について,フィールドサーベイ等を通じて情報収集した。中でもモロッコについては、新興国がどのように自国の強みを発見し育成できるか,そして世界との関係で自国の強みを強化するにはどのような方策が有効か検討した。ロシアについての検討は,新規ビジネスの立ち上げ,競争優位を構築する起業家の企業者行動と経営戦略に注目し,ロシアビジネスの非連続性に力点を置いた考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの研究分野に専念する一方、研究会や学会を通じて各分担者との研究連携を緊密に進め、次年度に向けての研究基盤を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
イスラーム企業については、イラン、トルコ、中国の現地調査とともに、昨年に引き続きイランとトルコにおける統計資料の入手につとめ、喜捨の経済に関して統計分析にはかれるように準備を行う。コミュニティ・キャピタルについては、ミクロな人間関係の視点から調査を行い、どのような関係が地方総成につながる成果をもたらすのかを明らかにする。また、倫理的行動をとる日本企業の倫理性と利益の創出との関係を明らかにするために、倫理性に根差したどのような組織能力が利益の増大に影響をもたらすかを検討する。ロシアと他のユーラシア新興市場において特徴的な事業を展開する国内外の多国籍企業を発掘し,経営戦略上の強みを明らかにする。わけても市場浸透を図るために開発された新機軸と先進国など他市場への当該イノベーションの展開状況とその方法に焦点を当てる。新興市場の位置づけをリバース・イノベーションの観点から考察する。本研究の運営に当たっては、研究会を開催し、分担者、協力者間の研究連携を密にし、論文執筆、学会発表を行う。
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Research Products
(11 results)