2018 Fiscal Year Annual Research Report
福祉ガバナンスと介護労働の変容に関する国際比較研究
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16H03711
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石黒 暢 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (20273740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山井 弥生 (斉藤弥生) 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40263347)
吉岡 洋子 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (80462018)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 介護 / ケア / ガバナンス / 北欧諸国 / 介護労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も研究チームで定期的な研究会の開催を行った。前年度までの調査結果の分析を進め、北欧諸国と日本の高齢者介護の市場化とそれによるケアワークの変容についてまとめた著書を出版した。その大きな意義は、国別の統計によって把握されるマクロのデータではとらえきれない介護現場の現実を、介護労働者の日常の仕事を通じてミクロレベルで明らかにしたことである。また、福祉用具調査の分析結果を介護福祉学会で研究報告した。加えて、日本のケアワークの文化的背景に関して男性の施設介護職員を対象に実施したグループインタビュー調査の結果分析も行った。施設介護について、祖父母との交流や家族介護経験が入職背景として目立つ点や、性別役割分業意識が強い日本ゆえに比較的安定した雇用が男性の就業定着要因となっていること等が見出された。本結果の報告は現在作成中である。 また、引き続き国際調査の実施にも取り組んだ。グリーンランド(デンマーク)では介護政策におけるガバナンスと福祉文化に関連して、グリーンランド政府、自治体、介護施設、高齢住民に聞き取り調査を行った。また、ドイツでは福祉団体による介護関連の活動について、参与観察と聞き取り調査を行った。さらに、スウェーデンでは介護のガバナンスに関して、市場化された介護サービス供給の枠外・周辺における、地方行政と介護家族や市民組織の繋がりや連携について、調査を実施した。以上の調査の結果については、現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外で調査を順調に実施し、論点を明確にして研究を展開することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外で実施した調査の結果分析をより詳細に進める。研究成果の公開にもつとめる。具体的には、国内外の学会での研究報告やジャーナルへの論文投稿を行うとともに、国際シンポジウム開催に向けて準備を進める。
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[Book] 市場化のなかの北欧諸国と日本の介護 ―その変容と多様性2018
Author(s)
斉藤弥生・石黒暢(編著)、佐藤桃子、山口宰、吉岡洋子、Marta Szebehely. Gabrielle Meager, Sara Erlandsson, Palle Storm, Anneli Stranz, Gun-Gritt Trydegaard, Tilde Marie Bertelsen, Tine Rostgaard, Mia Vaboe, Karen Christensen, Frode Fadnes Jacobsen, Haakon Dalby Traetteberg
Total Pages
430
Publisher
大阪大学出版会
ISBN
978-4-87259-597-0 C3036