2016 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な大学組織の探索:組織の規模と範囲・組織間関係の現状・変容・存続の分析
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16H03780
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
村澤 昌崇 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (00284224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 淳 広島大学, 高等教育研究開発センター, 准教授 (50335692)
渡邉 聡 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (90344845)
安部 保海 広島大学, 教育室教育部教育支援グループ, 研究員 (20531932)
堀田 泰司 広島大学, 国際センタ-, 教授 (40304456)
羽田 貴史 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (90125790)
藤墳 智一 宮崎大学, 教育・学生支援センター, 准教授 (30248637)
阿曽沼 明裕 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (80261759)
白川 優治 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (50434254)
立石 慎治 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 研究員 (00598534)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高等教育 / 組織論 / 経営学 / 連携・統合 / 組織間関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、大学組織に関する基礎研究の一環として、Bess&DeeのUnderstanding College and University Organizationの翻訳勉強会を進めた。さらに、組織形態とガバナンス・組織文化・成果との関係に関するアンケート調査データ分析を進め、一部成果を日本高等教育学会第19回一般発表、13th International Workshop on Higher Education Reform (Dublin, September 7-9, 2016)、高等教育研究開発センター2016年度公開セミナー、第44回広島大学高等教育研究開発センター研究員集会にて報告・発表した。基礎研究の一環として、方法論についてもメスを入れ、高等教育研究の計量分析のレビューと今後の展望を行い、その成果を高等教育学会編『高等教育研究』の依頼論文としてまとめた(2017年度中に刊行予定)。 併せて、高等教育機関におけるミドルマネジメント人材の能力構造について,検討を行った。また、28年9月並びに29年1月にシンガポールで現地調査を2度実施し、国立シンガポール大学、南洋理工大学、シンガポール経営大学、シンガポールのポリテクニク5校すべてを訪問し、過去20年間の大学の戦略、組織、国際連携の変革について聞き取り調査を行った。加えて、広島大学高等教育研究開発センターがこれまでに実施してきた大学に対する機関調査のデータをパネルデータとしてつなぎあわせて分析することの可能性について検討を進め、組織形態と戦略・成果との関係の経年変化を追うデータ整備の可能性を探った。これら成果は,広島大学高等教育研究開発センターディスカッションペーパーシリーズ、高等教育研究叢書、『大学の組織とガバナンス』(仮題:図書出版)として2017年度中に出版予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた基礎研究は、Bess & Deeによる米国高等教育機関に関する体系的な組織研究の翻訳の目処を立てた。また、組織の経済学や組織社会学における「組織の失敗」「リーダーシップ」「組織文化」研究に関する先行研究を検討し、研究会や研究員集会等を主催して学際的研究の方向性を見いだした。同時に、共同研究者により、大学組織とガバナンスに関する理論的研究も展開され、その成果は日本高等教育学会第19回大会課題研究において報告された。また、基礎研究の一環として、高等教育研究の計量分析のレビューと今後の展望を行い、その成果を高等教育学会編『高等教育研究』の依頼論文としてまとめた(2017年度中に刊行予定)。 また、予定していた既存のデータを活用した研究については、2016年1月~5月に実施された大学組織・ガバナンスに関する学部長調査と外形データをマージしたデータセットの分析を行い、組織形態の多様性(規模・範囲の多様性)と戦略・ガバナンス・成果との関係を分析し、組織形態の多様性が、近年注目されるガバナンスの効果を超える形で、成果に影響をもたらすことを確認した。この成果を、日本高等教育学会第19回大会一般発表や広島大学高等教育研究開発センター主催の公開セミナーおよび研究員集会、ダブリンで開催された国際高等教育改革ワークショップにて発表し、関心を集めることができた。 さらに、共同研究者により、シンガポールで現地調査を2度実施し、国立シンガポール大学、南洋理工大学、シンガポール経営大学、シンガポールのポリテクニク5校すべてを訪問し、過去20年間の大学の戦略、組織、国際連携の変革について聞き取り調査を行った。 以上のように当初予定していた基礎研究、既存のデータ活用による統計的(再)分析そして国際調査は順調に進んでおり、すでに成果も出ている点を踏まえ、「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究については継続し、Bess&Deeの米国高等教育組織に関する研究書を抄訳しつつ、日本の高等教育組織・経営に関するケーススタディーも絡め、高等教育組織に関する理論・ケーススタディーの合本書の発刊を目指す。さらに、日本の高等教育研究が、組織論の発展を吸収せずに立ち遅れ且つ効果的な大学運営そのものが実現していない現状を踏まえ、上記米国文献にも基づきながら欧米における高等教育組織論の発展過程を明らかにするとともに、これらの諸理論を吸収できない日本の高等教育研究セクターの認知モデルに構造的な欠陥があるとの仮説に立ち、日本の高等教育研究のメタ分析を行う予定である。加えて、方法論における基礎研究も継続し、高等教育研究に必要な視点や分析手法の再考と展望の体系化を行う。 数理・実証分析については、前年度に引き続き大学組織・ガバナンスについての学部長調査の再分析および前年度には着手しなかった国大協調査の再分析、および学校基本調査その他国家レベルの社会経済統計の時系列データの整備・分析、および数理モデルの構築を行い、大学組織の適性規模・適性範囲を数量的に明らかにする。 海外調査については、引き続き欧米調査の可能性を探りつつ、アジアについては昨年度調査の実績を踏まえ、「ASEAN共同体」の動きがタイの大学の組織や連携にどう影響したか変革をテーマに「東南アジア大学ネットワーク」と「東南アジア教育大臣機構高等教育開発センター」並びにタイの高等教育機関を訪問し、調査する。
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Research Products
(6 results)