2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H03784
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
芦沢 真五 東洋大学, 国際学部, 教授 (00359853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 利枝 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (00271578)
花田 真吾 東洋大学, 国際学部, 准教授 (00635865)
米澤 彰純 東北大学, インスティテューショナル・リサーチ室, 教授 (70251428)
太田 浩 一橋大学, 国際教育センター, 教授 (70345461)
関山 健 東洋大学, 国際教育センター, 准教授 (90583576)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 比較教育 / 国際教育 / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度前半の研究は、欧州のFCE機関の調査を中心におこなった。英国における外国成績評価の公式な認証機関であるUK-NARICを訪問し、FCEの実務、運用、評価ガイドライン、スタッフ職能開発などについて調査をおこなった。この調査と同時に、UCL(University College London)のDirector of Access and AdmissionsなどFCE実務を担当する部門関係者と面会し、どのようにUK-NARICの認証サービスを活用しているか、を調査した。また、9月には、EAIE(European Association of International Education)年次総会に参加し、欧州のFCE機関の関係者と面会した。特にノルウェーの認証機関であるNOKUTの代表者にヒアリングを実施した。特に難民の学歴・成績を認証するプロセスについて多大な知見を得ることができた。 科研メンバーによる研究会は4回にわたって行われ、日本国内の実情についても多面的な情報収集がおこなわれた。特に、大学改革支援・学位授与機構が2013年から2015年にかけておこなった「学生移動(モビリティ)に伴い国内外の高等教育機関に必要とされる情報提供事業の在り方に関する調査」の結果について更なる考察をおこなった。 平成29年1月には、英国およびノルウェーから外国学修歴・資格評価(FCE)の専門家を招聘し、各国のFCEシステムと運用についてセミナーとワークショップを実施した。本企画にはユネスコアジア太平洋地域教育局、在日オーストラリア大使館などの協力を得て、アジア地域におけるFCEの今後について意見交換を行う機会も設定された。国際的な学生・人材の流動性を高めていくことを目的に実施された本セミナーには90名、ワークショップには30名を超える参加を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究では、まず欧州のFCE機関の実情について最新情報を得られたことが意義深い。UK-NARIC(The National Recognition Information Centre for the United Kingdom)は民間非営利機関であるが、英国政府が公式に承認した唯一のFCE機関である。A)個人向け認証サービス(留学希望者が経費負担)、B)大学(機関)向けサービス(年間会費を請求)、C)国際連携業務、D)データベース管理・運用などを主たる業務としている。こうしたシステムについて調査するとともに、実際にUK-NARICの会員である大学を訪問し、実際のFCE評価実務とUK NARICのリソースをどう活用しているかを確認できたことは有意義であった。EAIE年次総会においてNOKUTの関係者と面会し、難民を含めたFCE認証の実情についてヒアリング調査を行うことができた。 国内の実情についても4回の科研研究会などを通じて、実態を分析することができた。異なる大学の特徴に見合ってFCEのニーズが異なることが明らかとなり、大学の規模や特徴に見合ったヒアリング調査の必要性が確認された。 2017年1月25日の国際セミナーでは、欧州における代表的なFCE機関(UK-NARICおよびNOKUT)による現状報告をきくことができた。これに加えてユネスコ、オーストラリア大使館からも報告を受け、アジア・オセアニアにおけるFCEの今後の展開について意見交換することができた。さらに1月26日のワークショップでは、日本の国際入試選抜の担当者60名を対象に、欧州のFCE実務者が直接FCE認証の手法やデータベースの活用法などについて説明を行った。また、日本の参加者からも困難ケースについて問題提起を行い、意見交換できたことも大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに着手した欧州調査(UK-NARICおよびNOKUT)をさらに発展させ、オランダおよびドイツを中心に調査を継続していく方針である。欧州においてはEARマニュアルがFCE専門家の間では認証の指針の役割を果たしており、EARマニュアルのケーススタディを継続して分析していく。また、北米調査では、大学におけるFCE実務に焦点をあてて調査を継続する必要がある。特に米国では民間のFCE機関が主要な役割をになっているが、機関(大学)レベルでどのようなノウハウが蓄積されているかを調査していく。初年度は豪州からの専門家を招聘することができなかったが、次年度において招聘し、研究会を実施する予定である。 FCEにかかわる文献調査を継続するとともに、欧州、北米、豪州における先進事例について比較検証をおこなう予定である。この取り組みを通じて、欧州、北米、豪州のFCE実務・手法につき、比較検証をおこなう。 日本国内については、大学の規模、学位レベル、分野によってニーズが異なることが確認されており、この点を踏まえた実態調査(ヒアリング)を開始する方針である。具体的には、留学生の受入れ実績の多い大学の中で、学部(国際教養系)、大学院(理工系)、大学院(人文系)など一定の分類のもとでヒアリングを実施する。このヒアリング調査結果と過去に実施された実態調査結果(大学改革支援・学位授与機構による)などを総合的に分析し、入学者選抜における組織的な課題、高等教育機関質保証の観点からカリキュラムの通用性確保の課題などを考察していく。
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Research Products
(14 results)