2017 Fiscal Year Annual Research Report
三次元量子ナノディスクアレイによるゼーベック係数制御・熱電変換素子
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16H03898
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寒川 誠二 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30323108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80332568)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱電素子 / 量子ドット / ナノ構造 / フォノンエンジニアリング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は前年度作製したSiNWs-SiGe複合薄膜に不純物(ホウ素やリン)を注入し、複合薄膜のキャリア濃度の制御により室温領域で発電できる熱電薄膜材料の構造においてSiとSiGe薄膜の積層構造を持ったナノピラーに中間層であるSiGeを埋め込む構造が熱伝導率をバルクの1/300まで低下できる最適な構造であることを明らかにした。この時、電気伝導率はバルクと同様の値を示し、ナノピラー構造を介したキャリア移動度はバルクとほぼ同程度が維持できることが分かった。その結果、私どもが作成したナノピラー構造は無欠陥であるため、キャリアの移動度を損ねることなく熱伝導率のみを抑制でき、熱電素子としてはZT>1の性能を実現できる可能性があることを示した。この特性は熱電素子のみならず、トランジスタ構造においても熱の影響を抑制しながら高移動度デバイスを実現できる可能性を示している。更に上記の複合薄膜を用いてシリコン半導体デバイス製造プロセスによる熱電変換素子製造プロセスを検討し、熱電素子特性を評価するために最適なパターンの設計を行うとともに、熱電素子の試作に挑戦した。その素子を用いて発電特性を評価することで、起電力は不十分であったが、室温領域で発電できるナノ構造熱電変換素子が実現できる可能性を実証した。また、熱伝導率の評価においても熱伝導の異方性を測定できる3ω法やヘテロダイン法を確立し、ナノ構造による熱伝導率の異方性測定技術も確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオテンプレート極限加工を用いて、二次元シリコンナノディスクアレイ構造作製手法および中間層堆積手法を確立して、最適な複合膜構造を明らかにした。また、熱伝導率の異方性評価や電気伝導率の測定方法も確定でき、熱電素子作製プロセスを試すことができ、最適化の課題を抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は現在まで最適化した複合薄膜への不純物注入の最適化を行い、室温領域で効率よく発電できるZT>1以上で動作する熱電素子を試作する。
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Research Products
(12 results)