2016 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum-dot devices in silicon-based tunnel field-effect transistors
Project/Area Number |
16H03900
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森山 悟士 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (00415324)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 量子ドット / トンネルトランジスタ / 電子スピン共鳴 / スピン・ブロッケード / 量子コンピュータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではシリコン集積化技術を用いて作製されたトンネル電界効果トランジスタ(TFET)において, イオン注入により形成された準位を介した単一電子輸送現象, 単一電子ダイナミクスを調べ, 量子準位の物性解明とその量子ドットデバイス応用の可能性を探究する。本年度は短チャネルTFET素子の低温から室温における電子輸送測定を行い, 量子ドット素子としての動作実証と離散準位形成に関する解析を行った。 実験では素子作製プロセス工程においてAlおよびNがチャネル中に注入されたAl-NドープTFETを用い, 低温での電子輸送測定から, TFETチャネル中に少数存在すると考えられるダングリングボンド欠陥を介した単一電子伝導, Al-Nイオン注入によって形成されたと考えられる深い準位を介する単一電子伝導を観測した。その中には室温まで単一電子輸送が観測される, 強い閉じ込めを持つ素子もあり, 電子輸送には深い準位が関わっていることを示唆する結果を得た。TFETは, 価電子帯から伝導体へのZener型バンド間トンネリングにより電流が流れ, トンネル障壁厚をゲート制御することによって流れる電流量が変化する。そのデバイス構造から, ミッドギャップ近傍の深い準位に対しても電気的にアクセスすることができ, その結果, 強い閉じ込めを持つ量子ドット的電子輸送が実現されたと考えられる。また, 素子の中には, 直列2重結合量子ドットの形成を示唆する電子輸送特性も観測された。直列2重結合量子ドットでは離散準位間の共鳴トンネルやスピン依存伝導が観測される。今後, それらの現象を利用した単一電子およびスピンのダイナミクス制御を行うことを目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Al-Nドープした短チャネルTFET素子において, 単一電子伝導を観測し, その解析からチャネル中の深い準位等を介した量子ドット的電子輸送であることを確認し, 量子ドットデバイスとしての動作が実現できることを実証した。バンドギャップ内における準位のエネルギーの大きさなど量子準位形成の詳細は未だわからないところもあるが, 直列2重結合量子ドット動作を用いた単一電子スピンの制御の可能性も見い出すことができており, おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
量子準位形成の詳細など物性解明を実験的に進める。また, 直列2重結合量子ドット動作をする素子において高周波応答の実験を行い, 離散準位間の共鳴トンネルとマイクロ波光子との結合, スピン・ブロッケード現象を利用した単一電子スピン共鳴など, 単一電子のダイナミクスおよびスピン制御を試み, 量子ビット動作の実現を目指す。
|