Outline of Annual Research Achievements |
Gorenstein環上のCohen-Macaulay(=CM)加群の全体はフロベニウス圏を成し, 特にその安定圏は三角圏構造を持ち, さらに特異導来圏を強化する. 次数付きGorenstein環上の次数付きCM加群の安定圏がいつ傾対象を持つかを理解することはCM表現論における主要問題であり, 様々な場合に解答が与えられている. Buchweitz, 山浦との共同研究で, Rが1次元非負次数付きでR_0が体の場合に, 安定圏が傾対象を持つ必要十分条件は, a不変量が非負であるかRが正則であることを示した. 導来圏同値の研究で基本的な概念に, t構造と傾複体がある. 傾複体を変異の観点から補完するものが準傾複体であり, 2項準傾複体, 代数的中間t構造, 関手的有限ねじれ類が一対一に対応する. ねじれ類は包含関係に関して完備束tors Aを成すが, その構造をDemonet, Reading, Reiten, Thomasとの共同研究で調べた. 特にHasse図の矢の煉瓦(brick)によるラベル付けを与え, それが煉瓦, 完備結び既約元, 完備交わり既約元の間の一対一対応を与えることを示した. 応用としてtors A上の束合同に関する基礎理論を構築した. Chan, Marczinzikとの共同研究で, 導来圏のSerre関手の振る舞いに着目してSerre形式多元環を導入した. d遺伝多元環, 自己入射多元環, d標準多元環をはじめ重要な例が存在する. さらにSerre形式多元環のm反復多元環の自己入射次元と支配次元を求め, それが最小Auslander-Gorenstein多元環となる必要十分条件を与えた. これは96年の山形による観察の理論的説明を与える. Zhangとの共同研究で, 射影次元がn以下である傾加群の集合に最小元が存在するための必要十分条件を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1次元Gorenstein環のCohen-Macaulay加群の安定圏に関する成果(arXiv:1803.05269), 三角圏のVerider商の内部実現に関する成果(arXiv:1702.04475), ねじれ類の完備束構造に関する成果(arXiv:1711.01785), 最小傾加群の存在に関する成果(arXiv:1801.04738)を公表した. さらにSerre形式多元環という極めて興味深い多元環のクラスを発見し, それに関する論文(arXiv:1707.03996)を公表した.
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