2017 Fiscal Year Annual Research Report
多次元一般相対論的輻射流体力学シミュレーションによる超新星爆発の研究
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16H03986
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山田 章一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80251403)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超新星 / 重力崩壊 / ニュートリノ輸送 / 一般相対論 |
Outline of Annual Research Achievements |
質量が太陽の約10倍以上の恒星がその寿命の果てる際に起こす重力崩壊型超新星爆発の定量的な数値シミュレーションでは、星の自転や流体力学的不安定の成長などによる非球対称性を考慮し、一般相対論を時空の発展、ガスの運動、ニュートリノ輸送において近似なしに取り込み、精度よく計算することが重要であるが、これを成し遂げた研究はこれまでのところない。本研究では、これまでの研究ですでに一般相対論化されたボルツマンソルバ ーと流体力学方程式を有限差分法で解くコードに、アインシュタイン方程式をやはり有限差分して時空の発展を解くコードを開発、合体することを目指している。
本年度はまず、アインシュタインソルバーの完成に最も注力した。我々のコードは、近年提案された球座標に基づくBSSN形式に準拠している。時間発展を解くメインモジュールの開発は昨年度終えたので、今年度は初期条件を作るモジュールと、それに関連して、いわゆる共形平坦近似で時空の発展を求めるモジュールの開発を行った。特に後者については、現実的だが一般相対論を考慮していないシミュレーションで得られた計算結果からいくつかのスナップショットを切り出し、それにコードを適用するテストを行い、基本的な動作確認をした。なお、この研究は雇用した博士研究員西條統之氏と研究協力者の東大大学院生原田了君 およびカルフォルニア工科大のポスドク研究員長倉洋樹氏の協力のもとで行った。またこれとは別に、流体運動と重力についてはニュートン近似を用いたシミュレーションを異なる親星モデル、自転の速さ、状態方程式に対して行い、ボルツマンコードが適切に動作することを確認した。さらに、一般座標変換の自由度を用いて原始中性子星の運動をトラックし、キック速度を正確に計算するモジュールが現実的なシミュレーションにおいても設計通りに作動することを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アインシュタインソルバーの開発において残されていた初期条件を求めるモジュールは問題なく完成した。また、その副産物として、共形平坦近似で時空の発展を追うモジュールも作成した。しかし、これは予想していなかったことだが、後者のテストにおいて、コアバウンド後のいくつかのスナップショットに対しては解が求まらないことがわかった。共形平坦近似では解が一意的でないことがあることは知られているが、今のケースで本当にそれが原因か、それともニュートン法における収束の問題であるのかは現時点では不明で、さらなる検証が必要であることが明らかになった。ただしこのモジュールは、従来使われてきた共形平坦近似の妥当性を調べるために副次的に作成したもので、この問題が本研究の遂行にとって致命的なわけでは全くなく、全体的にはほぼ予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、流体モジュールを完成させ、全てのモジュールを合体させる。これについては今の所問題はない。一方、上述の共形平坦近似の問題については、ニュートン法の問題であるかどうかを確認するため、我々のグループで開発中の新しい手法で同じ方程式を解くことを試みる予定である。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] The Neutrino Distributions in the Rotating Core-Collapse Superanova2018
Author(s)
Harada, A., Yamada, S., Iwakami, W., Okawa, H., Nagakura, H., Sumiyoshi, K., Furusawa, S., Matsufuru, H.
Organizer
Physics of Core-Collapse Supernovae and Compact Star Formations
Int'l Joint Research
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[Presentation] The Rotating Core-Collapse Supernova Simulation with Full Boltzmann Neutrino Transport2017
Author(s)
Harada, A., Iwakami, W., Okawa, H., Yamada, S., Nagakura, H., Sumiyoshi, K., Matsufuru, H., Imakura, A.
Organizer
Workshop on the Progenitor-Supernova-Remnant Connection
Int'l Joint Research
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