2019 Fiscal Year Annual Research Report
SCATを活用した螺旋ポリマーよりの分子内孔含有2D高分子気体分子篩自立膜の合成
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16H04153
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
青木 俊樹 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80212372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 隆司 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90272856)
寺口 昌宏 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30334650)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 合成化学 / 反応・分離工学 / 分子認識 / 高分子構造・物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者らが以前見出した2つのオリジナル技術、HSSP(JACS(2003))とSCAT(JACS(2013)発表)を用いて、2D化つまり分子内孔含有2D高分子の合成を行った。三つの方法([1],[2][3])を用いて、以下の3段階(A,B,C)の実験を種々の組み合わせと順序で行った。 [1]可溶性マルチストランドスターポリマーの合成[2]分子内孔含有2D高分子の合成 [3] SCAT体両親媒性3官能性モノマーよりの2D高分子合成 A ペンダント官能基間の2D(二次元)重縮合による規則的な分子内孔を多数持つネットワークポリマー膜の合成、B これに続くSCATによる積層型2D高分子膜の合成、C そして最も薄い高性能の理想的分子ふるい膜として,その分子層剥離による単層型2D高分子膜の創製。 [1] では、溶液中でAを分子内で行い、得られた種々の可溶性で自立膜性を有する分子内孔含有2D単独高分子を溶媒キャストで製膜し、その膜より気体分子混合物の透過測定を行った。その結果、分子内孔により性能の向上ができることを見出した。 [2]では、いずれも膜状態でA→B→Cの順に行ったが、各段階の高分子反応の転化率を制御し、製膜性を維持し、得られた不溶な分子内孔含有2D高分子の自立膜の気体分子混合物の透過測定を行った。その結果、後重合によるネットワーク化が選択性向上に非常に有効なこと、あるいはSCATによる分子間隙のダウンサイジングが選択性向上に有効なことを見出した。Aの反応の制御を高めるために、垂直配向ポリマー膜の合成を試み、これにAおよびB反応を行い、気体分子混合物の透過測定を行い、配向性の効果が見られた。 [3]では、Bと基材多孔膜との複合膜を調製し、超分子ポリマー緻密膜を得ることに成功した。さらにSCAT反応した膜そのままおよびその膜を溶解し再度製膜した膜にAの反応を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A ペンダント官能基間の2D重縮合による規則的な分子内孔を多数持つネットワークポリマー膜の合成は20種程度成功した。自立膜の透過に複数成功した。また、モノマー構造としてはフレキシブルスペーサ-を排除し、全芳香族のものを合成した。ポリマーとしてはリビング重合を利用したブッロクコポリマーの合成に成功した。支持膜を種々選択し、表面との相互作用による配向性の制御に一部成功した。 B これに続く代表者らのオリジナルである定量的可視光環化芳香族化分解反応(SCAT)による積層型2D高分子膜の合成は15種前後成功した。自立膜の透過に複数成功した。 C Bよりの超分子ポリマー単独膜(多孔支持膜上)の気体透過のデータは30以上得られた。また、ブレンド膜によるデータも数種得られた。 [1] HSSP体のペンダント間の分子内後重縮合による可溶性ラダーおよびマルチストランドスターポリマーの合成においては、ストランド数を増加するための、第3の重合官能基の導入に成功した。また透過測定においては、計5,6種前後成功した。[2] HSSP体のペンダント間の分子間後重縮合による分子内孔含有2D高分子の透過測定においては、計30種前後成功した。[3] SCAT体およびこれよりの2D高分子合成においては、気体透過のデータは30以上得られた。[1-3共通] 分離膜性能評価においては、環状あるいは多分岐状のミクロ構造のサイズ効果、および、SCAT構造体の効果を考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
A さらにモノマー構造、高次構造、あるいは膜構造を最適化し、鋳型としての規則性と自立膜性の両者を向上させる。膜としては第二成分を有効に導入する。たとえば、①製膜性のある基材膜からの表面開始重合による垂直配向膜を用いる。また②ラミネート膜層間の界面重合による薄膜化をトライする。さらには③共重合体特にマルチブロックコポリマーを合成して用いる。 B より剥離しやすい構造とするため、荷電置換基を導入する。孔サイズを制御するため、バルキーな置換基を導入する。 C より可溶化しやすい置換基構造を導入して行う。あるいは、不溶化後そのまま支持膜に移送して、透過測定に用いる。 [1] HSSP体のペンダント間の分子内後重縮合による可溶性ラダーおよびマルチストランドスターポリマーにおいては、膜状態での、分子間後重縮合を併用し、ストランド数を各段に増やすとともに、欠陥を排除し、構造の完全性を高め、性能、特に選択透過性の向上を図る。[2] HSSP体のペンダント間の分子間後重縮合による分子内孔含有2D高分子の透過測定においては、分子内孔の制御を垂直配向、マルチブロックコポリマー、モノマー構造、コモノマー構造、分岐置換基の導入で進め、さらに性能、特に透過性の向上を図る。[3] SCAT体両親媒性3官能性モノマーよりの2D高分子合成においては、膜表面、膜内部の層間を利用して、ラミネー間に薄膜を得る。[1-3共通] (1) 2D構造の評価と最適化 分子内孔含有2D高分子合成:2D含率,2D比を指標として,これらの向上を試行錯誤しながら段階的に進める.(2) 分子ふるい膜としての評価 分子ふるい膜実現:2D含率,2D比,分子孔サイズと選択透過係数との関係を吟味し,試行錯誤しながら段階的に進める。分離対象を酸素窒素だけでなく、種々の気体分子あるいは溶媒分子に拡大し、最適な分離対象を見出す。
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