2016 Fiscal Year Annual Research Report
トップダウン・ボトムアップ統合オンチップ細胞計測システム
Project/Area Number |
16H04301
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸山 央峰 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60377843)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ・マイクロメカトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞核内の温度・pH分布の計測と細胞内へ1秒以内で導入するためのレーザ局所加熱が可能なマルチ蛍光センサビーズの作製,細胞集団の生理状態を計測可能な蛍光センサアレイの作製,を目的として下記の研究を行った. (1)マルチ蛍光センサビーズとしては,内部に磁性ナノ粒子を内包し,温度感受性を有する蛍光色素のローダミンBで染色した直径1μmのポリマービーズの表面を,紫外光照射でゼータ電位が上昇するフォトクロミック材料のスピロピランを内包した脂質膜でコーティングすることで,細胞導入可能なビーズを作製した.このビーズは通常負に帯電しており細胞やガラスに付着しないが,紫外光を照射することでガラスマイクロプローブ先端に固定でき,細胞膜へ搬送・固定後,1064nmの近赤外レーザをビーズに照射することで,ビーズ内の磁性ナノ粒子が加熱され細胞膜を融解しビーズが細胞内へ導入される.以上のプロセスにより任意のビーズを特定の細胞内に選択的に導入することに成功した. (2)蛍光センサアレイについては,親水性光硬化性ハイドロゲル内にpH・温度・カルシウムイオンに感受性を有する蛍光色素をそれぞれことなるゲルのピラー内に導入し,パターン上にガラス基板上に配置することで,マルチパラメータ計測が可能な蛍光センサアレイを作製した.また,このピラーにECMをコーティングすることで,骨芽細胞の培養が可能であることが確認でき,マルチ蛍光センサアレイを有する細胞培養表面の作製に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光センサビーズに関しては,細胞付着に制御に必要となるゼータ電位制御について,定量的な評価ができ,加えて付着時の有効な環境条件についても知見が揃いつつある.現在は磁性ナノ粒子の存在のため光ピンセット等の光学的操作技術の適用が困難であるが,金ナノロッドの光学的特性を生かした波長選択的な加熱手法の基礎検討ができており,ガラスプローブを使わず非接触手法のみで,操作・固定・導入・計測の機能が実現できる見込みがたった. 蛍光センサアレイについては,センサの作製,評価,細胞の培養が確認できており,細胞計測を行う準備が整った.
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光センサビーズについては,加熱源としてレーザによる磁性ナノ粒子加熱に変えて金ナノロッドの表面プラズモン効果を利用した波長選択的加熱を用いることで,紫外光による細胞付着制御,可視光領域での蛍光を用いた局所環境計測,近赤外領域で異なる波長を用いたレーザ局所加熱とレーザ操作,のプロセスを光で一貫して実現させる. 蛍光センサアレイについては,骨芽細胞の分化と環境の相互作用の計測を行う.また,ハイドロゲルを用いた蛍光センサでは,蛍光分子の挙動がポリマーを用いた蛍光センサとは異なることが見つかっており,この特性を生かした1万回以上の計測が可能な蛍光センサの実現を目指す.
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