2016 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット超格子による高信頼性黄色半導体レーザーの実現
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16H04337
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
秋本 良一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 上級主任研究員 (30356349)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子ドット / 半導体レーザー / II-VI族半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、レーザー活性層に量子ドットを導入したII-VI族半導体材料を用いて、信頼性の高い黄色波長域で動作する量子ドット半導体レーザーを実現することである。量子ドット特有の効果である、量子ドット内に局在した注入キャリアと活性層に内在する点欠陥との空間分離効果に着目し、従来から量子井戸レーザーの高信頼性化を阻害してきたキャリアと点欠陥の光反応による欠陥自己増殖が、量子ドットの導入により抑制されるかを検証する。また量子ドット層を多層化し、層間の電子的結合効果を制御した量子ドット超格子を導入して、発光波長を長波長化した黄色波長レーザーを実現する。本年度は、レーザーの活性層に導入する量子ドットの結晶成長条件とその発光特性について研究を行った。試料の構造は、CdSe量子ドット活性層層、BeZnSeガイド層、BeMgZnSeクラッド層とし、比較のため活性層以外はこれまでの量子井戸型レーザーと同じ層構成とした。CdSe供給量の増加とともに発光ピークが長波長側へシフトし、490nmから530nmの範囲で発光を観測できた。供給量が2.5原子層(ML)のとき、波長520nmで量子井戸試料と同程度の発光強度が得られた。さらに長波長の発光波長をもつ試料では、発光強度が急速に減少しており結晶欠陥の発生が示唆された。単一量子ドット層によるさらなる長波長化を実現するため、量子井戸層の中央に量子ドットを形成したDot-in-a-well構造も検討した。CdSe1.5ML、量子井戸層4nmの試料は、量子井戸構造と同程度の発光強度を持ちつつ、発光ピーク波長が550~560nmまで長波長化が可能であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は量子ドット活性層の発光特性について研究しその特性が明らかにすることができた。次年度の黄色波長域で発光する構造およびレーザー発振の実現に向けて、基盤技術を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、量子ドットの形状、密度を確認するとともに、量子ドットを多層化し電子的に結合させることにより黄色波長への長波長化の可能性を検討する。
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