2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04382
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津村 幸治 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (80241941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 健太郎 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40639233)
田中 冬彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90456161)
大関 真之 東北大学, 情報学研究科, 准教授 (80447549)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 制御工学 / 量子統計 / 量子計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,動的な量子力学系を対象とする,量子フィードバック制御理論,量子システム同定,量子計算理論の各分野を,量子力学系の情報量に基づく統一した視点で分野横断的に融合し,(1)制御理論・量子力学・情報理論の3分野にまたがる普遍的原理の解明と統合理論の確立,(2)既存の量子システム(量子計算機等)の性能を凌駕する,優れた量子システムの具体的な設計手法の確立を目指す.具体的には次の4つの課題の解決を試みる. 課題(1):量子フィードバック系に必要な情報量の導出,課題(2):量子力学系に対するシステム同定法の確立とそれに必要な情報量の導出,課題(3):同定・フィードバックを前提とした量子力学系の最適設計手法の導出,課題(4):課題(1)~(3)の結果を相互に関係づけることによる理論統合.このうち,平成28年度では,課題(1)~(3)に着手した.具体的には以下の通り. 課題(1):制御対象を大規模なネットワークド量子力学系,制御器を古典系の場合を考え,限られた局所的な測定系と局所的なフィードバック系,およびそれらの操作のアルゴリズムを新たに提案した.その上で,その操作の繰り返しにより,目標の量子もつれ状態が確率的に達成されることを示した.(担当:津村,大木). 課題(2):量子系の推定問題を考え,そのための対象の情報を得るために,量子系に対する射影測定の選択問題を考えた.その上で,様々な目的に応じた適切な射影測定を示すことができた.(担当:田中). 課題(3):量子アニーリングによる量子計算手法を新たに提案し,その解析を行った(担当:大関,大木). また量子アニーリングそのものの新たな最適化計算手法を提案し,その性能を数値実験により検証した (担当:津村).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題(1)においては,大規模なネットワークド量子力学系に関する局所的な測定系と局所的なフィードバック系,およびそれらの操作のアルゴリズムを新たに提案することに成功したが,測定によって得られる情報量についての考察が不十分であり,当初の目的である制御に必要な情報量が不明であった.また課題(3)においては,新たに量子アニーリングによる量子計算手法,あるいは量子アニーリングによる最適化アルゴリズムを提案したが,情報の取得と操作というフィードバックの観点による解析・設計の観点が欠けていた.
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Strategy for Future Research Activity |
課題(1)においては,現在の制御系において,測定によって得られる情報量を特定し,その情報量と制御性能・収束速度の関係を解明することを目指す.また,情報量と制御性能の関係をより簡潔に表すため,単一の比較的シンプルな量子力学系も新たに対象とし,具体的な測定系と作用系を設計し,上記関係を明らかにすることを目指す.また課題(3)においては,提案した量子アニーリングによる量子計算手法,量子アニーリングによる最適化の性能の解析をさらに進め,かつ,情報の取得と操作というフィードバックの観点に基づき,必要な情報量と計算手法の性能の関係を解明する.
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Research Products
(13 results)