2017 Fiscal Year Annual Research Report
Parallel Assessment of Genetic Diversity across Full Range of Species in Riverine Communities Using Next-Generation Sequencing
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16H04437
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 幸三 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (80634435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幹男 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30204499)
八重樫 咲子 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30756648)
竹門 康弘 京都大学, 防災研究所, 准教授 (50222104)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝的多様性 / 次世代シークエンサー / 生態系 / 流域 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題2 遺伝子頻度推定法の開発 まず,愛媛県・重信川流域を含む複数の流域から集めた水生昆虫サンプルを形態同定し,個体ごとにDNAを抽出してからミトコンドリアDNAのCOI領域の塩基配列をサンガーシークエンシングで解読した。そして,これら配列既知のサンプルを,種内,種間,属間,科間,目間の各分類レベルの遺伝的変異を適度なサンプル数により創出できる割合を導いて,人工群集サンプルを作った。この人工サンプルは次年度に継続される遺伝子頻度推定法の開発に用いられることになる。また,重信川流域から採取した底生動物を形態学的に同定した後,その群集サンプルから抽出したDNAのCOI領域をPCR増幅して次世代シークエンサーによるメタバーコーディングを行った。そして,種ごとのDNA配列数やハプロタイプ頻度を調べた結果,種ごとの個体数と配列数は有意な正の相関が認められた。このことは,PCRを行った後にも個体数が多い遺伝子の頻度が高まる傾向が保存されていることを示唆している。
課題3 環境選択性遺伝子の検索 環境勾配に応じて同種個体間の配列が顕著に変異している環境選択性遺伝子を検索する。日本広域から採取された28種の282個体から個体ごとに抽出したDNA 試料に次世代シークエンシング解析(Double-digest restriction-associated DNA)を行い,ゲノムワイドの DNA 配列を解読した。ゲノム上に分布する一塩基多型(SNP)が6409サイト発見された。latent factor mixed modelにより,1,181サイトが環境選択性遺伝子として推定された。Distance-based redundancy analysis により,気温,降水量,水深などの環境変数と関連性が高い環境選択性遺伝子を検索した結果,58遺伝子が環境変数と特に強い連関を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題2の遺伝子頻度推定法の開発は年度中に完了しなかったものの,課題3は 環境選択性遺伝子を探すことだけに止まらず,それら遺伝子と連関を示す環境因子を発見することもできた。したがって,全体としては概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
課題2:人工群集サンプルを使って遺伝子頻度推定法の開発を完了する。 課題4:流域から採取した群集サンプルを使って全種網羅的な遺伝的多様性と遺伝的分化の評価を行う。
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