2017 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性原生動物による都市下水処理UASB内の捕捉SS成分の分解・メタン化の促進
Project/Area Number |
16H04442
|
Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
荒木 信夫 長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (30193072)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 隆司 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10280447)
押木 守 長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (90540865)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 都市下水処理 / 嫌気性汚泥床法 / 嫌気性原生動物 / メタン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市下水処理UASB内の嫌気原生動物に影響を与えると考えられる上昇線流速を循環流を設定することにより0-20 m/dに段階的に変化させる連続実験を実施した。その結果、槽内の嫌気性原生動物叢には以下の影響が観察された。 ①スラッジベッド内の上昇線流速を段階的に増大させるとスラッジベッドの空隙率が大きくなり、線流速0-12 m/dの間では原生動物数は徐々に増大した。一方、線流速20m/dでは原生動物数が著しく減少したが、これは原生動物がスラッジベッドからウオッシュアウトしたものであった。 ②UASB内の原生動物の優占種は短期間で変化し続け、その変化は同一条件の運転期間においても観察された。その現象は線流速が大きい条件で顕著であった。これは原生動物のスラッジベッドからウオッシュアウトが優占種の変遷に影響している、ものと判断される。 ③遺伝子解析結果から、繊毛虫類と嫌気性鞭毛虫類では上昇線流速の影響に違いが見られた。繊毛虫類でリアクター内に出現するのはMetopus palaeformis, Metopus contortus , Caenomorpha sp., Plagiopyla sp.の4種であった。 また、鞭毛虫類の優占種は常にAnaeromonadea綱のTrimastix sp.が優占していた。 UASB内の原生動物を走電性を利用して回収し、汚泥内のバクテリア、流入都市下水内のSS成分、溶解性成分を完全に分離し、窒素・炭素の安定同位体比の計測を行った。その結果、嫌気性原生動物は流入都市下水のSS成分を捕食していると示唆された。これは原生動物内の共生細菌も影響していることが考えられるため、さらに検討が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
都市下水に含まれる浮遊固形成分の分解に嫌気性原生動物がどの程度寄与しているかについて検証する計画であるが、嫌気性原生動物が固形成分の分解に大きく貢献していないとの実験結果が得られた。今後は、UASB内のどのような生物種が固形成分を分解しているかを明らかにし、原生動物がどの程度の役割を果たしているかを確認する。これにより流入する固形成分の分解・メタン化を促進する技術を開発する。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に長岡市都市下水処理状に設置した1000Lパイロットプラント、35L、12Lラボスケールリアクターを実都市下水を用いて連続運転を行う。都市下水処理UASBのスラッジベッド内の浮遊固形成分(セルロース濃度として計測)の蓄積量の年間を通じた変化を追跡し、原生動物数、原生動物種(鞭毛忠類、繊毛虫類)の変化を測定する。また、定期的にセルロースパウダー及び都市下水内のSS成分を基質として固形物の分解活性バイアル試験を実施し、分解活性の季節変化を明らかにする。これにより固形物の分解に寄与する微生物群を特定する。 固形物の分解にする寄与する微生物群の特定には安定同位体比の測定も同時に実施する。走電性をベースにした原生動物だけを回収する装置は開発済みであり、原生動物細胞内の共生微生物のノイズを除去するために、抗生物質による処理を行う。バクテリアは遠心分離を用いて回収する。都市下水の固形成分と溶解成分はフィルターを用いて分離する。この4つの成分の窒素・炭素の安定同位体比を質量分析計で計測し、バクテリア(古細菌を含む)と原生動物(繊毛忠類か鞭毛忠類か)のどちらが固形成分の分解に寄与しているかを判定する。
|