2016 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミック・マスと性能可変ダンパーを併用した超長周期ハイブリッド免震構造の開発
Project/Area Number |
16H04454
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀 則男 東北工業大学, 工学部, 教授 (60292249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十子 幸樹 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20521983)
菅野 秀人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (20336449)
池永 昌容 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (50552402)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 免震構造 / 長周期地震動 / 応答制御 / ダイナミック・マス / オイルダンパー |
Outline of Annual Research Achievements |
免震構造は,建築物の基礎下に水平剛性が小さい免震装置を設置して建物全体の固有周期を伸長することにより,地震力の低減を図るものである。そしてダイナミック・マスは,免震層の静的な剛性と安定性を維持したまま,地震動時の応答周期を長周期化することができるデバイスであり,高性能な超長周期免震を実現するデバイスとして有望である。本研究課題では,ダイナミック・マスと性能可変型デバイスを併用したハイブリッドシステムを提案し,免震建物の地震時応答性能の更なる高度化を目指す。 提案システムで用いているダンパーにはいくつかの設計変数があり,本研究では多目的遺伝アルゴリズムを用いて,効果的な地震応答低減を実現するための最適パラメータの探索を行った。この過程で,ダイナミック・マス,粘性要素,支持部材を直列に配置したダンパーシステムが,中小地震から巨大地震までの異なる入力レベルに対しても免震建物の応答変位を効果的に抑制できることを明らかにした。さらにこの成果に基づき,ダイナミック・マス試験体の最適な特性を検討し,作製した。 また,リアルタイム・ハイブリッドシミュレーション実験(RTHS実験)のシステム構築を行った。これは,非線形性が強く実験での確認が必要となるダンパーなどの実試験と,性能が比較的良く分かっておりシミュレーション解析の容易な構造物の数値解析を組み合わせる実験で,労力,時間,コストを抑え,大規模な試験機性能を必要とせずに実時間に忠実な実験を行えるシステムである。既往の磁気粘性流体ダンパー試験体を用いた試行実験を行い,実験システムの特性と問題点,精度などを検証し,本研究で検討・作製するダンパーの実証実験に有効であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多目的遺伝アルゴリズムを用いた最適解の探索法を本研究課題で提案している免震制御システムに適用することができ,この成果に基づいてダイナミック・マス試験体を作製することができた。但し,検討・作製に時間を要してしまったため納入が3月となり,予備実験を行うに留まってしまった。 RTHS実験については,コントローラーの導入,制御システムの構築,既往の試験体を用いた試行実験を行い,平成29年度からの実験実施の準備ができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に作製したダイナミック・マス試験体に対して,平成29年度は単体加力実験による特性確認,およびRTHS実験による免震制御効果の実証実験を行う。 また,これまでの研究成果による最適ダンパーパラメータに基づき,性能可変オイルダンパー試験体の作製準備を行っている。平成29年度に実施するダイナミック・マスの実験結果に基づき,性能可変オイルダンパーの設計変数を修正しながら,試験体の作製と予備実験実施を予定している。 さらに,平成30年度にはダイナミック・マス試験体と性能可変オイルダンパー試験体の両者を免震建物に適用したRTHS実験を実施予定であるため,平成29年度は,試験体の単体加力実験と免震建物のシミュレーション解析を通してRTHS実験の実施準備を行う。すなわち,実験の安定性・安全性を確保するため,実験システムの時間遅れ,電気的ノイズの影響と除去フィルターの効果,試験体剛性の低減や付加的減衰の付与について検討・検証する。
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