2016 Fiscal Year Annual Research Report
リバーススプロールの実態と計画的市街地縮小に向けた整備手法に関する基礎的研究
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16H04472
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
浅野 純一郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10270258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中出 文平 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (10172347)
姥浦 道生 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20378269)
秋田 典子 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (20447345)
松川 寿也 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (60444189)
柴田 祐 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (90444562)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リバーススプロール / 都市縮小 / コンパクトシティ / 土地利用計画 / 低未利用地 / 空き家・空き地 / 立地適正化計画 / 線引き制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、今後国内各都市で急速な進行が予想されるリバーススプロール(市街地縮小)の実態を明らかにすると共に、この対策としての土地利用計画手法を、具体的な制度適用事例や課題把握を通して実証的に検証し、計画論及び制度論として提言することである。これに対し、本研究では、土地利用計画分野での国内若手精鋭による共同研究により、①全国レベルの実態把握を行う点(地方都市~大都市圏都市まで)、②リバーススプロールに関わる多面的な問題を対象とする点、③セミナーや国際シンポジウム開催を通し、研究成果の公開を積極的に行う点、④英独等の都市計画研究者を加えての国際比較検証を行う点、に特色があり、包括的かつ国際的な調査研究を行うものである。 ①に関しては、筆者を含めた研究メンバーが各々の個別テーマで成果を上げた。浅野(筆者)は津波危険区域における開発許可制度による居住誘導手法の検証を浜松市を対象に行い、都市計画論文集(日本都市計画学会)において発表した。同論文は2016年度優秀論文賞に選ばれた。またこれまでの研究成果(本科研費助成以前の成果を含むが)を踏まえ、地方のリバーススプロールの実態(浅野)、首都圏近郊都市のリバーススプロ-ルの事例(秋田)、東日本大震災被災地の状況(姥浦)、都市計画法制度の都市縮小問題への適用課題(中出)及びその実証(松川)、市街化区域内農地の管理状況(柴田)を含め、新たな論考として、学芸出版社からの出版企画を準備した(2017年7月出版予定)。 ③に関しては、浅野が都市計画学会中部支部主催シンポジウム「集約型都市構造への転換とそのプロセス・プラニングの構築に向けて」(福井市地域交流プラザ、2016年10月6日)に参加し、本テーマの取り組みに関連し登壇し、パネラーを務めた。④に関しては、2017年3月に英国研究者2名を招き、長崎県の都市縮小問題を現地調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果については、「研究実績の概要」で記したように、津波危険区域における開発許可制度による居住誘導手法の検証を浜松市を対象に行い、都市計画論文集(日本都市計画学会査読論文)において発表した点、都市縮小を土地利用計画の観点から総合的にまとめる書物を学芸出版社から発行する予定である点、「人口フレーム枯渇都市における線引き運用と立地適正化計画の策定方針に関する研究」を本年度都市計画学会に投稿している点、など初年度から確実に成果を出している。 次に、調査の進捗という点からも、①津波危険区域における開発許可制度運用研究は、浜松に隣接する磐田市の事例調査を順調に進めている点、2017年4月に100市以上の運用が始まった立地適正化計画についても、現状把握調査が進んでいる点、豊橋市の協力を得て空き家の発生パターンの詳細調査が進んでいる点、など研究代表者および分担者の各々が着実に個別テーマを推進している。その上で、研究メンバーが2016年11月上旬に千葉大学(分担者である秋田典子准教授)の下に集合し、合同ゼミという形式で研究の進捗状況を確認した。 シンポジウム開催という点では、都市計画学会中部支部主催シンポジウム「集約型都市構造への転換とそのプロセス・プラニングの構築に向けて」(福井市地域交流プラザ、2016年10月6日)に参加し、本研究課題の一部を披露した。国際比較研究という観点では、2017年3月にバーミンガム大学Peter Lee上級講師とオックスフォード大学Vlad Mykhnenko准教授を招聘し、長崎県の3市(島原、大村、長崎)の都市縮小実態調査を実施した。 以上のように、多方面に亘り、当初の研究計画で記した事業が動いているため、おおむね順調に進展していると自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、3年間の研究計画の2年目である為、代表者および分担者各々が初年度の個別調査を一応の結論へと導き、とりまとめることが求められる。研究代表者の分に関して言えば、津波危険区域の開発許可制度運用による居住誘導可能性調査(磐田市を対象)、豊橋市を対象とした空き家の分布パターンとその要因分析調査、人口フレーム枯渇都市を対象とした立地適正化計画の策定意向調査を論文として完成させ、投稿することが目標となる。他方、2017年7月には、我々のグループが主執筆陣を占める「都市縮小時代の土地利用計画」(仮)が学芸出版社より出版される予定である。その出版記念シンポジウム等を通して、さらにメンバー間の議論を深める必要があり、その方向で進めるつもりである。また、シンポジウム開催という点では、2017年6月に日本都市計画学会中部支部において研究代表者が主査を務める研究委員会が主催するシンポジウムを、本計画課題にそう内容で開催することが決定しており、自治体関係職員等との意見交換を通じ、研究の深化を模索する。 国際比較研究では、筆者が「現在までの進捗状況」で記したように、英国研究者との合同調査を長崎県を対象に進めており、共同研究論文として成果をとりまとめる予定である。また、Vlad Mykhnenkoは自身が主催するヨーロッパの都市縮小共同研究グループに浅野を招待してくれている為、継続的に開催されるそのミーティングへの参加を通じ、国際共同研究としても深化の方向性を探る予定である。
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Research Products
(13 results)