2017 Fiscal Year Annual Research Report
粒界性格と粒界偏析量を制御した双結晶作製手法の開発と粒界諸特性の解明
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16H04502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 賢一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20335996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 誠司 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50199949)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 結晶粒界 / 結晶成長 / 再結晶 / 力学特性 / 表面・界面物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、粒界偏析・粒内固溶元素が個々の粒界の力学特性や再結晶挙動に与える影響を系統的に明らかにするために、研究代表者らがこれまでに培ってきた単結晶・双結晶作製手法と多結晶の諸特性評価手法を融合させ、以下の3点を研究目的として実施している。 (1)粒界性格と粒界偏析量等を制御した新規双結晶手法の確立 (2)再結晶・粒成長の素過程である粒界移動挙動に与える固溶・偏析元素の影響の解明 (3)粒界偏析元素が粒界強度に及ぼす影響の解明 平成29年度は、昨年度に引き続き(1)の項目の検討ならびに(2)の再結晶現象および(3)への展開を考えた多結晶の力学特性に関する研究を実施した。具体的には、(1)では、ブリッジマン法での双結晶作製に適したるつぼについて詳細に検討し、2種類の単結晶(種結晶)から成長させて双結晶を作製する形状とすることを決定し、設計図案を作成した。(2)では、アルミニウム合金の再結晶現象について、スカンジウムとジルコニウムを添加したAl-Mg-Si合金に圧延と熱処理を変化させてその後の再結晶挙動を調査した結果、熱処理が結晶粒径や結晶方位分布に大いに影響を及ぼすことが明らかになった。(3)では、これまでに別の研究課題として実施してきた時効析出型Al-Mg-Si合金において、その微細組織観察中に、粒界近傍で時効析出物の存在状態が異なることを見出した。このことから、粒界性格によって粒界近傍の析出挙動にどのような違いを生じるのかを明らかにするためにビッカース硬さ試験やSEM/EBSD解析を実施して検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、双結晶作製手法に関する検討を進めるとともに、多結晶材料の諸現象の解明を実施した。双結晶作製に関して、光学式浮遊帯域溶融装置およびブリッジマン装置での実験が種々の要因から進まなかったことから、当初の計画よりもわずかに遅れているところがある。しかし、ブリッジマン装置用のるつぼの設計を終えることができたので、平成30年度から2年間で、当初の目的達成を見込んでいる。一方、多結晶材料の諸現象の解明については、粒界性格との関係を明確化する方向で進んでおり、新たな研究課題が見つかったこともあり、おおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、設計したブリッジマン装置用のるつぼの作製および、アルミニウム合金を用いた双結晶作製に取り組む。また、粒界性格が関与する金属多結晶材料の諸現象を明らかにするための実験を、アルミニウム合金、ニッケル、炭素鋼などを対象として進める予定である。特に平成29年度に見出したアルミニウム合金における粒界性格と粒界近傍の時効析出物の析出形態について調査することを最優先として取り組む予定である。
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