2018 Fiscal Year Annual Research Report
粒界性格と粒界偏析量を制御した双結晶作製手法の開発と粒界諸特性の解明
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16H04502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 賢一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20335996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 誠司 北海道大学, 工学研究院, 教授 (50199949)
滝沢 聡 北海道大学, 工学研究院, 助教 (20240632)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 結晶粒界 / 結晶成長 / 再結晶 / 力学特性 / 表面・界面物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、粒界偏析・粒内固溶元素が個々の粒界の力学特性や再結晶挙動に与える影響を系統的に明らかにするために、研究代表者らがこれまでに培ってきた単結晶・双結晶作製手法と多結晶の諸特性評価手法を融合させ、以下の3点を研究目的として実施している。 (1)粒界性格と粒界偏析量等を制御した新規双結晶手法の確立 (2)再結晶・粒成長の素過程である粒界移動挙動に与える固溶・偏析元素の影響の解明 (3)粒界偏析元素が粒界強度に及ぼす影響の解明 平成30年度は、(1)に関して昨年度設計した双結晶育成るつぼをグラファイトを素材として作製した。また、ブリッジマン炉への設置、加熱・育成条件について検討した。(2)では、新たにAl-Mn系合金の再結晶挙動に関する固溶元素の影響について検討を開始した。その結果、熱間加工温度により、固溶元素が析出物を形成し、結晶粒界や亜結晶粒界上に存在することを確認し、それらの初期状態がその後の再結晶過程に大いに影響を及ぼすことが明らかになった。(3)では、別の研究課題で発見したAl-Mg-Si合金の時効析出形態が粒界近傍において粒内とは異なることが示唆されたため、Al-Mg-Si合金多結晶体の粒界性格分布をEBSD法により明らかにし、時効前後で同一粒界の強度がどのように変化するのかを検討した。その結果、時効温度の違いすなわち析出物の違いによって、時効前後における粒界強度が異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、ブリッジマン炉用の双結晶育成るつぼを作製することができ、育成条件を検討していることから、最終年度では、実際に双結晶の作製にとりかかることができるため、順調に進んでいるといえる。また、多結晶材の再結晶挙動ならびに析出挙動に及ぼす粒界性格の影響についても種々のアルミニウム合金を用いて検討を開始できており、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、本研究課題の最終年度であり、アルミニウムを用いた双結晶作製を進めつつ、アルミニウム合金多結晶材に関して、再結晶挙動と時効析出挙動に及ぼす結晶方位・粒界性格の影響について引き続き実験を進める。得られた結果については、積極的に軽金属学会および日本金属学会の講演大会への発表を行い、論文としてまとまった成果が得られた段階で投稿の準備を進めることを予定している。
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Research Products
(9 results)