2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04518
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石丸 学 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (00264086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和久 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70314424)
仲村 龍介 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70396513)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 照射損傷 / アモルファス化 / SiC |
Outline of Annual Research Achievements |
原子炉等に使用される材料は照射環境下に曝されるため、優れた耐照射性が求められている。ナノ結晶化やポーラス化によるナノ構造化は、放射線照射の際に導入される格子欠陥の消滅する場所(結晶粒界や自由表面等)を増大するため、耐照射性の改善に有効であると考えられている。しかしながら、高温環境下では組織の粗大化が起こり、耐照射性の劣化が危惧される。我々のグループでは、高温でも安定に存在できる面欠陥を高濃度にSiCを導入した「ナノ構造SiC」を作製し、その照射挙動を調べている。その結果、本物質は単結晶や多結晶SiCよりも優れた耐照射性を有することを見出している。 これまでの研究は、比較的軽い元素であるSiを室温および低温で照射した時の挙動を調べてきた。一方、重イオン照射ではナノ構造SiC中に導入されている面欠陥が破壊されるため、軽イオン照射とは挙動が異なる可能性がある。本年度は、「ナノ構造SiCの耐照射性に及ぼすイオン種の影響」を調査するため、ナノ構造SiCに室温においてAuイオン照射を行った。照射に際しては、単結晶SiCにも同時に照射を行い、フラックスや照射時の温度上昇の影響を除外した。 2MeVのAuイオン照射では、ナノ構造SiCと単結晶SiCのアモルファス化に必要な損傷量は同じであり、ナノ構造化による耐照射性の改善は見られなかった。一方、10MeVのAuイオン照射ではナノ構造SiCの方が単結晶SiCよりも耐照射性が優れることが確認された。照射エネルギーによる照射挙動の違いには、カスケード損傷および電子励起効果による回復が影響していると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を推進するために使用している透過電子顕微鏡およびその周辺機器が故障したため、研究期間の見直しを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
分子動力学法等の計算機シミュレーションを用いて、格子欠陥の挙動に関する調査を行う。このためのシミュレーションコードの開発に着手する。
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