2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04518
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
石丸 学 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (00264086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和久 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (70314424)
仲村 龍介 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70396513)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 照射効果 / 透過電子顕微鏡 / 構造解析 / アモルファス / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
材料が照射環境下に曝されると格子間原子や空孔等の点欠陥が導入されるため、ナノスケールで欠陥の挙動を制御する必要がある。結晶粒界や界面は欠陥の消滅サイトとして作用するため、結晶材料においてはナノ結晶化やポーラス化により耐照射性の改善が試みられている。今年度は、照射時の欠陥挙動を分子動力学法により調べた。温度制御法の影響について調べた結果、速度スケーリング法では照射温度が高くなるとともに欠陥の蓄積が顕著になることが確認された。これは実験結果の傾向と逆であり、照射領域と周囲の温度差が大きいと、照射粒子のエネルギーが急激に失われることに起因する。 一方、アモルファスは自由体積やフレキシブルな原子配置の存在により欠陥が容易に消滅することが出来るため、新規耐照射性材料としての応用が期待される。米国ネブラスカ大学リンカーン校のグループは、1200℃以上の結晶化温度を有するアモルファスシリコンオキシカーバイド(SiOC)の照射挙動を調べ、照射後もアモルファス構造が保たれることを確認している。しかしながら、本研究は高分解能電子顕微鏡観察のみで行われており、耐照射性の起源を解明するのに必要なアモルファスの構造は不明であった。応募者はネブラスカ大学のグループと共同研究を推進し、電子線動径分布解析法によりアモルファスSiOCの構造解析を行った。その結果、本物質はSiO2と類似の構造を有し、照射前後において顕著な相分離や結晶化が起っていないことを原子レベルで確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ構造SiCの照射挙動については、概ね明らかにすることが出来た。今年度から、ナノ欠陥を制御する新たな方法としてアモルファスに着目し、既に国際共著論文を出版している。
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Strategy for Future Research Activity |
アモルファスSiOCの優れた耐照射性の起源を明らかにするために、組成を変化させた試料にイオン照射実験を行い、照射前後の構造を透過電子顕微鏡法により調べる。
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