2016 Fiscal Year Annual Research Report
船体構造と騒音伝達経路の関係の解明と騒音レベルを低減する構造の創生に関する研究
Project/Area Number |
16H04603
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北村 充 広島大学, 工学研究院, 教授 (40195293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹澤 晃弘 広島大学, 工学研究院, 准教授 (10452608)
田中 義和 広島大学, 工学研究院, 准教授 (00335704)
田中 智行 広島大学, 工学研究院, 助教 (20452609)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有限要素法 / 三角関数 / 船体構造 / 振動・騒音計測 / 面内振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
高周波振動を求めるための解析手法の開発:大骨と小骨が鋼板に接合された板組構造という船体構造の特徴を理解・利用して,要求される騒音レベルに必要な振動モードを少ない要素数で近似できる新しい有限要素を研究した.研究初年度では,面内振動に限定し,解析手法の妥当性,精度,有用性を確認した.大骨に囲まれた鋼板を1つの要素として考え,三角関数基本としてその要素の振動を表現する新しい有限要素を作成した.大骨を含んだ鋼板4枚を解析し,細分割された通常の有限要素解析と比較したところ,固有振動数を精度よく近似していることが示され,振動モードに細かな波が発生することが確認されるものの,概略の振動モードにおいても形状の一致が確認できた.また,自由度では大幅な減少が確認できるため,提案要素は有用性があることがわかった. 構造変更による振動特性の変化の検討:機関室構造において,フレーム数を3本から2本に変更することにより,上部構造の振動レベルを低減できることを確認した.一方,機関室の振動レベルは上昇したが,補強材の追加などにより,悪化を抑制できることがわかった. 実船における振動・騒音計測:防振・騒音対策が施された実船において,振動・騒音計測を実施した.計測した実船は総トン数約3,600 のケミカルタンカーであり,発電機の防振対策,全室浮き床適用,を施工してある.防振・騒音対策を施していない兄弟船での騒音計測結果と比較した結果,騒音については4~10dBの低減していることが確認され,浮き床の効果が検証された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
面内振動の効率よく把握できる新しい有限要素法を確立した.当初案の通り,船体構造の特性を考慮した三角関数の組み合わせにより,少ない自由度で高次な振動モードを表現できることを確認できた. 構造変更による振動特性の変化を検討した.構造変更により固有振動数を制御できることが分かり,最適化の意義を確認できた. 3,600 のケミカルタンカーにて,振動・騒音計測を実施した.浮き床の騒音低減への効果が確認できた. 以上のように,研究は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,面内振動に限定して,高い周波数を有する振動・騒音解析を可能とする新しい有限要素法を研究した.その解析手法を,面外振動も扱うことができるように拡張し,船舶の数値シミュレーションを行うことを予定している.実際の船舶への適用を考慮して,境界条件,減衰係数などについても検討する. 上記の数値シミュレーションに基づいて,船体構造における騒音伝達経路と各室の騒音レベルの関係を明らかにする. また,騒音レベルの最小化を目的関数とする最適化問題,あるいは騒音レベルが規制値以下になることを目的関数とする最低化問題を設定し,騒音が少ない船体構造についても研究を進める.
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