2017 Fiscal Year Annual Research Report
野生マウスの遺伝子プールから発掘した過体重と肥満抵抗性QTLの責任遺伝子の同定
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16H04680
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石川 明 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20211724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マウス / QTL / 肥満 / 体重 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの過体重や肥満は、高血圧や糖尿病等の生活習慣病の元凶であることが近年明らかとなった。過体重と肥満を含めて生活習慣病は、QTLs(Quantitative Trait Loci)と呼ばれる複数の量的形質遺伝子座と環境要因が複雑に絡み合って発症する多因子性疾患である。しかし、過体重と肥満に関わるQTLsの責任遺伝子をヒトにおいて同定することは未だに容易ではない。今までに、研究代表者は、野生マウスの遺伝子プールから過体重と肥満抵抗性QTLsを発掘し、これらを2-4Mbのゲノム領域内に位置づけることに成功した。本研究では、近年開発された新しい分子生物学的解析手法を駆使して、これらのQTLsの最有力候補遺伝子を絞り込み、その責任遺伝子を同定する。また、その原因となるDNA変異の特定を試みる。 本年度は以下に示す2つを実施した。 1、最有力候補遺伝子の探索 平成28年度に得られた遺伝子発現量、F2のディプロタイプ、表現型の値を用いて因果関係推論テストを行い、肥満抵抗性に関わる最有力候補遺伝子を同定した。一方、過体重に関わる候補遺伝子を絞り込むことはできなかった。コンジェニック系統とその遺伝的背景系統マウスの肝臓からゲノムDNAを抽出し、肥満抵抗性に関わる最有力候補遺伝子のプロモーター領域の一部をシークエンス解析した結果、SNP等のDNA変異を発見することができた。 2、ノックアウト(KO)マウスを用いた相補性テストによる責任遺伝子の同定 平成28年度に引き続き、1つ目のKOマウスを用いた相補性テストの本交配実験を行い、体重、各種臓器重量等を計測した。また、2つ目のKOマウスを用いた相補性テストの本交配実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように、平成29年度は、おおむね計画通りに実験が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は以下に示す2つのことを実施する。 1、最有力候補遺伝子の探索 平成29年度に引き続き、肥満抵抗性に関わる最有力候補遺伝子のプロモーター領域等をシークエンス解析し、DNA変異を探索する。また、コンジェニック系統とその遺伝的背景系統マウス間のF2交雑群を作出し、この候補遺伝子が発現している組織の分布を、得られたF2のディプロタイプ間で比較する。 2、ノックアウト(KO)マウスを用いた相補性テストによる責任遺伝子の同定 1つ目の相補性テストで得られた個体について、白色脂肪組織と肝臓の光学顕微鏡標本を作製し、脂肪細胞のサイズの違いや肝臓組織の異常の有無について観察する。また、平成29年度に引き続き、2つ目のKOマウスを用いた相補性テストを行う。
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