2018 Fiscal Year Annual Research Report
野生マウスの遺伝子プールから発掘した過体重と肥満抵抗性QTLの責任遺伝子の同定
Project/Area Number |
16H04680
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石川 明 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20211724)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | マウス / QTL / 肥満 / 体重 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの過体重や肥満は、高血圧や糖尿病等の生活習慣病の元凶であることが近年明らかとなった。過体重と肥満を含めて生活習慣病は、QTLs (quantitative trait loci)と呼ばれる複数の量的形質遺伝子座と環境要因が複雑に絡み合って発症する多因子性疾患である。しかし、過体重と肥満に関わるQTLsの責任遺伝子をヒトにおいて同定することは未だに容易ではない。今までに、研究代表者は、野生マウスの遺伝子プールから過体重と肥満抵抗性QTLsを発掘し、これらを数Mbのゲノム領域内に位置づけることに成功した。本研究では、近年開発された新しい分子生物学的解析手法を駆使して、これらのQTLsの最有力候補遺伝子を絞り込み、その責任遺伝子を同定する。また、その原因となるDNA変異の特定を試みる。 本年度は以下に示す2つを実施した。 1、最有力候補遺伝子の探索 肥満抵抗性に関わる最有力候補遺伝子であるLy75のプロモーター領域をシークエンス解析した結果、いくつかのDNA変異を発見した。また、ノックアウト(KO)マウスとその遺伝的背景系統マウス間のF2交雑個体を作出し、Ly75の発現している組織を明らかにした。現在、発現組織の確認のために、コンジェニック系統とその遺伝的背景系統マウス間のF2交雑群の作出を行っている。 2、KOマウスを用いた相補性テストによる責任遺伝子の同定 相補性テストと因果推論テストにより、肥満抵抗性に関わる責任遺伝子として免疫に関わるLy75を同定した。また、相補性テストで得られた個体の白色脂肪組織と肝臓の光学顕微鏡標本を作製し、脂肪細胞のサイズの違いと肝臓組織の異常の有無について観察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように、おおむね計画通りに実験が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は以下に示す2つのことを実施する。 1、責任遺伝子の発現組織の探索 上述したように、肥満抵抗性に関わる責任遺伝子として免疫に関わるLy75を同定した。この遺伝子のmRNAの主要発現組織は胸腺であるが、胸腺以外で発現している組織を明らかにする。 2、原因DNA変異の探索 上述したように、シークエンス解析の結果、Ly75のプロモーター領域内にいくつかのDNA変異を発見した。そこで、培養細胞を用いたルシフェラーゼアッセイを行うとともに、ゲノム編集により遺伝子改変マウスを作出して表現型解析を行い、原因DNA変異の同定を試みる。
|
Research Products
(2 results)