2017 Fiscal Year Annual Research Report
酵素基質間の静電的反発が関わる反応触媒機構の実験的解明と抗マラリア薬の開発
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16H04751
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤橋 雅宏 京都大学, 理学研究科, 助教 (10397581)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 結晶構造解析 / 基質の歪み / オロチジン一リン酸脱炭酸酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、酵素反応中心における静電的な反発を実験的に明らかにするため、M. thermoautotrophicus ODCase (Mt-ODCase)の解離性残基のプロトン化状態決定可能な立体構造を決定する。この目的のため、これまでに生成物Uridine 5’-monophosphateとの複合体を1.03Å分解能でX線結晶構造解析できている実績を踏まえ、より遷移状態に近いと考えられる阻害剤6-hydroxyuridine 5’-monophosphateとMt-ODCaseの複合体構造を超高分解能でX線結晶構造解析することに取り組む。このようにして得た構造から決定した各残基の電離状態を、計算機シミュレーションの初期条件に反映させ、詳細な反応経路を解析する。 平成29年度には、平成28年度までに引き続き、高品質な結晶を数多く得るためのプロトコルの改善を図った。まずMt-ODCase試料の大腸菌での発現について、平成28年度に試行した大スケールでの大量方法を安定的に実施できるようにした。また結晶化作業を前年度に比べて効率化し、その方法で多数の結晶化を行った。しかしながら平成29年11月に、当初の予想に反し、外見上は同じ結晶が複数の型に分類されることが明らかになった。これら複数の型の結晶は、同じ組成の沈殿剤から得られる。それぞれの結晶の分析を進めたところ、複数の型のうちの1つの結晶型は他と比べて明らかに高い分解能にまでX線を回折した。この高分解能を与える結晶型の結晶は、シーディングで用いる種結晶に注意を払うことで、再現性が高まることがわかった。このようにして得た結晶を用いて、いくつかの高分解能のX線回折データを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年11月に、当初の予想に反し、同じ組成のMT-ODCase結晶化沈殿剤溶液から複数の結晶が得られることがわかった。この影響で、本研究の遂行に必要不可欠の高分解能データの収集計画に遅れが生じた。現在では、複数の型の結晶を作り分ける手段も見つかり、必要な高分解能データの収集を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる高分解能データの収集を行う。また、取得した高分解能データを分析し、活性中心付近の解離性残基のプロトン化状態の分析を行う。
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Research Products
(9 results)