2016 Fiscal Year Annual Research Report
損傷を回避したDNA複製(テンプレートスイッチ)の構造生物学
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16H04755
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
橋本 博 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40336590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 幸大 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (80729343)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
テンプレートスイッチに関わるヒト由来DNAヘリケース(HLTF、ZRANB3、PARI)の構造生物学的研究を行った。ZRANB3の新規PCNA相互作用モチーフであるAPIMとPCNAとの複合体構造解析と相互作用解析を完了し、メカニズムを明らかにすると共に、PCNA相互作用の一般性に関する知見を得た。DNAアニーリングへの関与が予想されているZRANB3のHPLドメインに関して、大腸菌を用いた組換えタンパク質の発現系を構築し、高純度に精製することに成功した。しかし、結晶化に十分な収量が得られず、調製方法の再検討が必要である。HLTFのN末端DNA結合ドメインであるHIRANドメインと相補的な二本鎖DNAとの複合体構造解析を行い、HIRANドメインのDNA認識メカニズムに関して新たな知見を得た。具体的には、HIRANドメインの結合によって二本鎖DNAの末端の塩基対が形成できず、3塩基がunwindすることが明らかになった。PARIに関して、大腸菌発現系によって化学的に高純度な組換えタンパク質の調製に成功したが、結晶化には至っていない。PARIの物理的純度を改善させることを目指し、リジン残基のメチル化を試みた。メチル化PARIをゲル濾過カラムクロマトグラフィーに供した結果、メチル化によってPARIの分子量分布の均一性を向上させることに成功した。リジンのメチル化によって分子間相互作用の様式が変わったと考えられるが、詳細なメカニズムはPARIのX線結晶構造解析によって明らかになると考えられる。今後、結晶化への期待が高まる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ZRANB3およびHLTFのヘリケースドメインについて、結晶化に供するのに十分な収量を確保できる調製方法を確立できていない。発現領域を様々に変えたHLTFの発現ベクターを構築した。そのほとんどにおいて、発現は良好であるが不溶性であり、培養条件や精製条件の検討が必要である。PARIについては概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
HLTFのヘリケースドメインについては、シャペロンプラスミドを用いた共発現を検討していく。シャペロンプラスミドはタンパク質の折りたたみに協同して働く大腸菌の分子シャペロンを組み合わせ、目的タンパク質と共発現させることで、可溶化率の向上を試みる。また、大腸菌からの抽出条件、具体的には用いる緩衝液(凝集抑制剤)や抽出方法も合わせて検討していく。ヒトではHLTFのホモログタンパク質としてSHPRHが知られている。今後はHLTFと並行してSHPRHの構造生物学的研究も進めていく。PARIについて、リジンのメチル化によって結晶化に適した試料を得ることが出来た。今後、結晶化において改善が見られ無い場合は、エチル化など、メチル化以外のアルキル化も検討していく。また、アミノ酸変異の導入による表面エントロピー減少(SER)も検討する必要があるかもしれない。
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Research Products
(25 results)