2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04798
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
花嶋 かりな 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (80469915)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大脳新皮質 / カハールレチウス細胞 / サブプレート細胞 / 進化 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大脳皮質で最初に誕生し、哺乳類以降で急速に発達した初期ニューロンについて、その分子多様性と機能を解析することで大脳新皮質の構築機構を明らかにすることを目的としている。これまでの転写因子Foxg1の下流解析により、哺乳類特異的なFoxg1標的遺伝子のうち、胎生期マウス脳においてカハールレチウス細胞およびサブプレートニューロンに発現する遺伝子群を同定した。そこでこれらの遺伝子について、非哺乳類および霊長類胚脳での発現パターンを解析し、非哺乳類脳で発現せず霊長類で発現パターンが保存されているものを、哺乳類特異的初期ニューロン発現遺伝子として解析を進めた。次にこれらの遺伝子群について、生体内でFoxg1の誘導を操作したマウスを用い発現動態を解析した結果、これらの遺伝子の発現がFoxg1に依存して時期特異的に制御されることが示された。またこれら遺伝子の時空間的な発現パターンの解析により、異なる大脳皮質領域から産生されるカハールレチウス細胞群を同定し、これらの細胞群が大脳皮質の表層において領域特異的に分布することが示された。これらの結果を受け、カハールレチウス細胞を過剰産生するFoxg1欠損マウスの大脳皮質細胞を単離し、ニワトリ胚由来の大脳神経幹細胞に異種間移植しその影響を評価したところ、放射状グリア型突起伸長、移動細胞の双極性の獲得等の表現型が見出された。これらの結果から、哺乳類で新たに獲得された初期ニューロンの分子多様性が大脳新皮質型神経細胞の特性に寄与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は大脳皮質の初期ニューロンに発現する分子群について、種間における時空間的遺伝子発現の比較および機能解析を行い、実験は概ね計画通りに進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験から、ヒトとマウスでサブプレートに発現し、大脳皮質形成期を通じてサブプレートニューロンに発現が限局する候補遺伝子についてその制御下でCreを発現する遺伝子改変マウスとレポーターマウスとの掛け合わせにより、生後1週齡までにサブプレート特異的な組換え、標識ができることが確認された。そこでこのマウスをアブレーション(除去)実験に用い、今後は①単一ニューロンレベルで蛍光標識したサブプレート-Cre; DTAアブレーションマウスの脳スライスを作製と層特異的な樹状突起パターニングについての定量的解析、②サブプレートニューロンアブレーションの各領野形成への影響を検証していく。特にサブプレート細胞は視床軸索のガイダンスを担うと考えられているため、サブプレート-Creとレポーターマウスとの交配により、視床軸索末端とサブプレート細胞の相互作用について可視化し、視床入力と領野パターニングの関係性について詳細に検討する。またアブレーションによるサブプレート細胞サブタイプ間の補償や特異的機能についても明らかにする。
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