2016 Fiscal Year Annual Research Report
Eco-evolutionary dymamics in plant-insect interactions
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16H04842
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大串 隆之 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10203746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 俊介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (10642019)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生物群集 / 進化 / 間接相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、どのような昆虫がセイタカアワダチソウを利用するかを知るために、京大生態研の実験圃場に異なる遺伝子型のセイタカアワダチソウを植えて、植物上の昆虫の種類と個体数を調べた。その結果、4種類の植食性昆虫(アワダチソウグンバイ、アワダチソウヒゲナガアブラムシ、クモヘリカメムシ、カイガラムシ)と9種類の捕食者(アミメアリ、クロヤマアリ、ヒメカメノコテントウ、オオカマキリ、アシナガグモ、ハナグモ、ハエトリグモ、クモsp1、クモsp2)がセイタカアワダチソウの株上でみられた。最も個体数が多かった植食性昆虫はアワダチソウグンバイで、セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシがそれに続いた。植食性昆虫の総個体数の90%以上がこの両種で占められていた。これをミネソタ大学の圃場で行った同様の群集調査の結果と比較したところ、滋賀ではミネソタに比べて植食性昆虫の種多様性と摂食ギルドの数は有意に低く、個体数は逆に有意に多いことがわかった。
キーストン植食者の昆虫群集への波及効果とその経路、そして群集への波及効果の結果として寄主植物の繁殖が受ける影響とその経路について、構造方程式モデリングによって量的に推定し、学術論文として発表した。また、日米間での移植実験の結果に基づき、複数の植食者に対するセイタカアワダチソウの抵抗性形質についてGマトリックスを推定した。この結果、抵抗性形質間で遺伝的トレードオフがあること、侵入過程においてGマトリックスの進化的な不変性及び環境依存的な改変が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日米の実験圃場で行った群集調査の概要を比較することで、植食性昆虫の群集構造に顕著な違いがあることがわかった。現在は、さらに種レベルでの詳細な解析を進めている。また、米国の共同研究者との打ち合わせを重ね、2017年度の交互移植実験の実行プロトコルを定め、緯度勾配に沿った日米それぞれ3か所(合計6か所)の圃場の整備とサンプルの準備が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度の調査結果を踏まえて、日米6箇所の圃場を用いて、交互移植の本実験を実施する。各地点で採取したセイタカアワダチソウについて、根茎によって同一遺伝子型の反復を作成してそれぞれの圃場で育成する。植物の形質と定着する昆虫群集についてデータを収集し、遺伝子型と環境の交互作用について明らかにする。特に、生態進化フィードバックの観点から、植物の遺伝子型と表現型可塑性が昆虫群集の形成過程に果たす役割、および生物群集が植物と植食性昆虫の形質進化に果たす役割の解明を目指す。
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