2016 Fiscal Year Annual Research Report
食品中のステロイド化合物とその体内干渉の全体像の把握
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16H04925
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 匡央 九州大学, 農学研究院, 教授 (90294909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城内 文吾 九州大学, 農学研究院, 助教 (00548018)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化コレステロール / 脂肪肝 / コレステロール合成 / 植物ステロール / ベタイン / 分枝鎖脂肪酸 / 動脈硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品におけるステロイド摂取量のデータは皆無であること、またその影響は構造、生体システムおよび量において、現実的な研究も少ない。これらのことを明らかにするために、食品およびヒト血清中に存在するステロイド化合物の量(主に酸化コレステロールおよび植物ステロール)を測定する。本年度は、食品中のステロール化合物の摂取量を測定し、摂取の現状を把握する。また、生体内の評価指針として酸化コレステロールおよび植物ステロールなどのステロイド化合物を測定した。さらにビタミンDの分析法も確立した。 男性独身寮の食事140食分の食事摂取量は酸化コレステロールで摂取コレステロールの1%程度、植物ステロールで摂取コレステロールと同量ぐらいだった、世界的な解析を見ても、同様な結果だった。 動脈硬化症患者約200人の血清の分析を行った結果、酸化コレステロールは25-hydoxycholesterol濃度が高い被検者は動脈硬化症の重篤度が低く。植物ステロールではカンペステロール濃度が同様に重篤度が低かった。これらのことから、動脈硬化症防御的ステロールは確かに存在することがわかった。 その他、脂質代謝改善作用のあるベタイン摂取および分枝鎖アミノ酸摂取のラットの、各種ステロイド濃度を測定した結果、コレステロールの合成が低下せずに、コレステロール濃度を下げるものがあることがわかった。植物ステロール、酸化コレステロールなどは、変化がなかった。以上のまとめると、代謝改善に対してはコレステロール合成が関わることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析技術の確立が行われ、スムーズに多種の臓器から分析ができるようになった。さらに、ステロイドホルモンおよびビタミンDに至るまで分析を確立しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化コレステロールを合成する酵素はいくつか同定されている。その臓器ごと発現パターンおよび調節因子は解明されていない酵素がほとんどである。最も有名な酵素群は肝臓での胆汁酸合成系の酵素であるが、これも基質特異性が甘く、細胞内コレステロールおよび酸化コレステロール量の変化が起こったとき、どのような酸化コレステロールを作り出すかは不明である。この際にこれら合成酵素のmRNAレベルでの発現を確認する。mRNAの解析はリアルタイム PCRを用いて測定する。酸化コレステロール分子種の中で7α, 27-dihydoxycholesterol は、マウス肝臓で発見され、新たに測定できるようになった酸化コレステロールであるが、ヒト血清では発見されない場合が多い。このような2次酸化コレステロール(水酸基が3基あるもの)は、各臓器の中で発現している酵素およびラジカルの状態により産生される。しかし、血清中では発見されづらく濃度も低い。これらの酸化コレステロールを測定する意義は、血清中の酸化コレステロールの消失にかかわるからである。臓器中で新たにこのような酸化コレステロールが発見される可能性があるので、是非この際に、スクリーニングしたい。 植物ステロール 植物ステロール分析の際には、スクワレン、ラソステロールなどのコレステロール合成マーカが含まれることや、植物ステロール酸化物もLXRのリガンドになる可能性を孕んでいる。現在糖尿病および動脈硬化について検証している。ここで、他の疾患との関係についても検証をしたい。
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