2016 Fiscal Year Annual Research Report
海洋バイオ水素生成技術の革新に向けたマリンビブリオの分子育種基盤の創成
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16H04976
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤辺 智雄 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (30241376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美野 さやか 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (00755663)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 水素 / 水産学 / 微生物 / バイオマス / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
水素社会の形成に向けて水素生成技術基盤の強固化が求められている。研究代表者が見いだした新規マリンビブリオは,海藻に含まれるユニークな炭水化物群を効率よく水素化するため,日本発の海洋生物資源を活用した水素生産技術となり得る。しかし,海洋微生物を活用したバイオ水素変換技術の基盤,特にマリンビブリオの水素生成能を高める分子育種技術は未成熟であり,水素生産性の向上にはボトルネックとなっている。そこで,本研究では,水素生成能の高いマンビブリオが有する水素生成分子マシナリーの細胞生理学的特性と遺伝子発現制御の解明および分子育種の進展を目的とした。特に,本年度は,1.水素生成能の高いVibrio tritoniusの生化学的および遺伝子発現制御機構の解析に向けた基礎技術の整備,2.V. tritonius Hyfなど生体分子マシナリーの細胞生理学的評価,および3.V. tritoniusのFHL遺伝子複合体構造および形成遺伝子の発現制御機構の解明などを進め以下の結果を得た。 1.実験計画法を用いV.tritonius AM2T株の水素生産性を最適化する微量金属の種類と濃度を設定した。 2.V. tritonius AM2T株のFHL遺伝子群は,ギ酸の添加で1時間程度で発現誘導されることが示唆された。 3.様々なマリンビブリオのゲノム比較を進めたこと,予期せぬ成果として,はじめて,アルギン酸から直接水素を生成できる株が見いだされた。本菌は新種のビブリオであり,hyf型ではあるもののAM2T株とは異なるタイプのhyfを保有しているものと考えられた。hyfの分子育種基盤の進展に向け,重要な細菌かつ遺伝子資源になるのと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成培地の開発および遺伝子発現解析は順調に進展している。また,予期せぬ成果として,今まで見いだされなかった単一の生物触媒でアルギン酸から水素を生成可能な新規マリンビブリオを見いだすこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,以下の点を推進する。 1.合成培地の最適化。特にマクロニュートリエントの種類と濃度の最適化 2.マリンビブリオが有するFHLの細胞生理機能の解明 3.窒素固定能の評価 4.アルギン酸から水素を直接生成するマリンビブリオの水素生産特性の理解
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Research Products
(4 results)