2017 Fiscal Year Annual Research Report
海綿動物の生活環に基づいた有用微生物による天然物生産機構の解明
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16H04980
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 健太郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90455353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 茂樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60183951)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 海洋天然物 / 共生微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
海綿動物からはこれまで数多くの化合物が単離、報告されており、それら海洋天然物の多くは様々な生物活性を示すことから、海綿動物は未利用生物資源として有用である。しかしながら、天然資源から取得できる化合物量には限界があり、海洋天然物を応用開発あるいは有効利用するためには、海洋天然物は化合物供給という点で大きな課題を抱えている。この課題を解決するためには、化合物の生産者および生合成遺伝子を明らかにし、生産生物の培養あるいは異種生物による生産をおこなう必要があるが、海洋天然物の生産者および生産機構を特定した研究は数例に過ぎない。本研究では 、海綿動物の生活環における微生物叢の変遷を解析することで、生産者の特定と生産機構の解明を研究の目的とする。 昨年度までに、ある種の海綿動物の生活環を明らかにし化合物の生産微生物の推定が終了していた。本年度はまず、生活環の各ステージにおけるメタゲノム解析をおこなった。その結果、いずれのステージにおいても、細胞毒性物質の生合成遺伝子の存在を確認することができ、生産微生物が子孫へ垂直伝播することで受け継がれていくことが推測された。さらに、これらの研究結果を補足するために、各ステージにおけるマイクロビオーム解析をおこなったところ、いずれのステージにおいても推定生産微生物が、当該海綿動物の主要な共生微生物として存在していることを明らかにすることができた。今後は、in situハイブリダイゼーションを実施することで、微生物の局在を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は生活環の各ステージにおける諸データの解析をおこなうことを目的にしているため、年に1度しか実験の機会がない。その中で1種の海綿動物において海洋天然物の生産微生物と生産機構を明らかにすることができた。この実験手法をもとに、他種の海綿動物に含まれる有用物質の生産微生物および生産機構を明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた研究結果をさらに強固なものにするために、生活環の各ステージの切片を作製し、in situ ハイブリダイゼーションを実施することで生産微生物の局在を明らかにしていく。また、本プロジェクトにおける過去2年間の研究成果、実験技術を基に、他種の海綿動物に含まれる有用海洋天然物の生産者および、生産機構を明らかにする。
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[Journal Article] Lactomycins A-C, Dephosphorylated Phoslactomycin Derivatives that Inhibit Cathepsin B, from the Marine-derived Streptomyces sp. ACT2322018
Author(s)
Sun Y., Carandang R. R., Harada Y., Okada S., Yoshitake K., Asakawa S., Nogi Y., Matsunaga S., Takada K.
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Journal Title
Marine Drugs
Volume: 16
Pages: 70
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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