2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the mechanism of polarity establishment on the plasma membrane for polar secretion in Plants.
Project/Area Number |
16H05068
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 雅彦 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20283575)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 細胞極性確立 / 根毛 / シロイヌナズナ / イノシトールリン脂質シグナリング / 細胞壁 / 細胞骨格 / 微小管 / 膜交通 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,ホスファチジルイノシトール3リン酸5キナーゼ(PI3P 5-kinase),FAB1の研究からイノシトールリン脂質が,植物の極性分泌の中心制御因子であることを明らかにした。この知見をもとに,本研究では,イノシトールリン脂質による極性場の形成機構の解明を中心に,シグナル伝達系,細胞骨格系,膜交通系など複数の分子システムを有機的に結合することで極性分泌機構を統合的なネットワークとして理解するための実験を行っている。 研究計画に記載の研究項目のうち,平成29年度は,項目(b)「FAB1およびPI(3,5)P2相互作用タンパク質の解析」とPI(3,5)P2および項目(c)PI(4,5)P2に制御される分泌経路の解析を行った。その結果,項目(b)については,FAB1とRho-type低分子量GTPaseであるROP10が根毛側面で共局在し,更に,物理的に相互作用することを明らかにした。相互作用候補因子ICR1に関しては,他のICRファミリーとの関連性を調べるために,ICR1~ICR5遺伝子をそれぞれCRSPR/CAS9法によって破壊したシロイヌナズナを作成した。項目(c)については,PI(3,5)P2およびFAB1によって,根毛側面の二次細胞壁の構成成分であるキシランが輸送されるが,一次細胞壁成分であるキシログルカンの輸送には関与しないことを明らかにした。 これらの研究項目の他に,共焦点レーザー顕微鏡を用いて,根毛側面強度を直接測定することに成功した他,PI(3,5)P2とPI(4,5)P2の局在と二次細胞壁,一次細胞壁の形成を数理モデル化し,コンピュータシミュレーションによって二種類のイノシトールリン脂質により根毛の形成機構を説明することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
イノシトールリン脂質による極性場の形成機構の解明を中心に,シグナル伝達系,細胞骨格系,膜交通系など複数の分子システムを有機的に結合することで極性分泌機構を統合的なネットワークとして理解するために計画している以下の研究項目, (a) PI(3,5)P2とPI(4,5)P2のライブセルイメージングによる同時観察(b) FAB1およびPI(3,5)P2相互作用タンパク質の解析(c) マルチカラースプリット・ルシフェラーゼ法の開発による3分子間相互作用の同時解析(d) PI(3,5)P2およびPI(4,5)P2に制御される分泌経路の解析のうち,項目(a)は,すでに解析が終了し,平成29年度は,項目(b)と項目(d)について,大幅な進展があった。 更に,当初の研究項目には記載がなかった。「根毛側面強度の共焦点レーザー顕微鏡による直接的測定」と「数理モデルを用いた 二種類のイノシトールリン脂質による根毛形成機構のシュミレーション」に成功した。 このように,現次元で当初の研究計画を超えて,計画が進行しており,平成30年度で,ほぼ研究計画が完了できる見通しが見えてきている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,研究項目(c)「マルチカラースプリットルシフェラーゼ法の開発による3分子間相互作用の同時解析」と項目(d)「PI(3,5)P2およびPI(4,5)P2に制御される分泌経路の解析」を中心に実験に取り組むとともに,今までの研究成果を論文として出版することを目指す。 具体的には,VAMP727,ARA6の挙動が,PI(3,5)P2の合成を阻害することで影響を受けるか検討する。更に,根毛において,SYP123, SYP132が関与する分泌経路のどちらがFAB1, PI(3,5)P2依存的かについて,PI(3,5)P2合成阻害剤,RNA干渉法を用いて解析する。具体的には,細胞壁の強化,伸長抑制に働く細胞壁タンパク質であるエクステンシンと,根毛先端の伸長に関わる細胞壁タンパク質であるエクスパンシンを,それぞれの分布経路のマーカーとして用いて解析を行う。もし,FAB1, PI(3,5)P2が関与する分泌経路が,固い細胞壁を作るために必要であるなら,FAB1の発現を抑制するとエクステンシンの分泌が抑制されるはずである。このことを証明するために,シロイヌナズナエクステンシン, LRX1にGFPを融合したLRX1-GFPを発現するシロイヌナズナ形質転換体を作成し,LRX1の分泌がFAB1, PI(3,5)P2依存的か解析する。
|
-
-
-
-
[Journal Article] Concerted action of evolutionarily ancient and novel SNARE complexes in flowering-plant cytokinesis2018
Author(s)
Minsoon Park, Cornelia Krause, Matthias Karnahl, Ilka Reichardt, Farid El Kasmi, Ulrike Mayer, York-Dieter Stierhof, Ulrike Hiller, Georg Strompen, Martin Bayer, Marika Kients, *Masa H. Sato*, Marc T. Nishimura, Jeffery L. Dangl, Anton A. Sanderfoot, Gerd Juergens
-
Journal Title
Dev. Cell
Volume: 44
Pages: 500-511
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
[Journal Article] Arabidopsis SH3P2 is an ubiquitin-binding protein that functions together with ESCRT-I and the deubiquitylating enzyme AMSH3.2017
Author(s)
Nagel MK, Kalinowska K, Vogel K, Reynolds GD, Wu Z, Anzenberger F, Ichikawa M, Tsutsumi C, *_Sato MH_*, Kuster B, Bednarek SY, Isono E.
-
Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
Volume: 114
Pages: E7197-E7204
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-