2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel orexin ligand and its pharmacological activity
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16H05098
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長瀬 博 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 教授 (70383651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 正史 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 教授 (20202369) [Withdrawn]
桜井 武 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60251055)
斉藤 毅 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (80609933)
入鹿山 容子 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (90312834)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 創薬化学 / 有機合成化学 / オレキシン / 作動薬 / ナルフラフィン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①「モルフィナン骨格を基盤としたOX1R作動薬の薬物設計と合成」と②「昨年度に見出した非選択的作動薬のin vivo薬理試験」について研究を行った。 ①モルフィナン骨格を基盤としたOX1R作動薬の薬物設計と合成 OX1R拮抗薬から作動薬への活性転換を目指し、モルフィナン骨格に対して作動活性に寄与する構造の付与と拮抗活性に寄与する構造の探索の2つのアプローチを実施した。我々が特定した作動活性に寄与する官能基をモルフィナン骨格へ導入した誘導体は、いずれも強い拮抗活性を示し、作動活性は見られなかった。この結果からモルフィナン骨格自体が拮抗活性に起因する部分構造を有しているものと考え、モルフィナン骨格の有する5つの環構造のうち2つの複素環を開環した誘導体を各種合成し、活性を評価した。興味深いことにいずれの開環誘導体も拮抗活性を示し、2つの複素環は拮抗活性発現に寄与が低いことが分かった。しかし、双方の環を同時に除去した誘導体では拮抗活性の大幅な減弱が見られたことから、両環がファーマコフォアを3次元的に配置する役割を果たしていることが示唆された。 ②昨年度に見出した非選択的作動薬のin vivo薬理試験 H28年度に実施したOX2R作動薬からOX1R作動薬への活性転換研究の過程で、OX1Rに選択性の高い誘導体YNT-1499(EC50 = 21 nM, 2R/1R = 6.5)を見出すことに成功した。本年度は、YNT-1499の量的供給法の確立と野生型マウスにおける行動薬理学実験を実施した。夜行性のマウスは明期に睡眠を取るため、YNT-1499を明期中盤(ZT-6)に静脈内投与し、その後の睡眠覚醒の状況を脳波筋電図解析により観察した。その結果、プレリミナリーな結果ながらYNT-1499投与群では投与後1時間の覚醒時間がvehicle投与群と比較して有意に延長してることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、睡眠・覚醒サイクルや摂食の調節メカニズムを制御するオレキシン神経系の真の機能解明を目的として、スルホンアミド構造とモルフィナン骨格を活用したOX1R選択的作動薬の薬物設計と合成、ならびにオレキシン受容体のin vivo薬理作用解析を目指し研究を行っている。 本年度は、①「モルフィナン骨格を基盤としたOX1R作動薬の薬物設計と合成」と②「昨年度に見出したOX1Rに選択的な作動薬のin vivo薬理試験」に注力した。①においては、OX1R拮抗活性に寄与する構造因子の探索を行い、OX1R拮抗活性に必要なファーマコフォア情報について重要な進展があった。この結果は、新たなオレキシン受容体リガンドの分子設計に有用である。また、②においては、世界に先駆けOX1Rに選択性の高い作動薬のマウスでの薬理試験を行った。これまでOX1Rは覚醒に影響しないと考えられていたが、OX1Rの活性化が覚醒にも関与している可能性を見出したことは重大な発見である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、H29年度に引き続き①「モルフィナン骨格を基盤としたOX1R作動薬の薬物設計と合成」と②「OX1Rに選択性の高い作動薬の薬理評価」を行う。 ①モモルフィナン骨格を基盤としたOX1R作動薬の薬物設計と合成 最終年度は、引き続きOX1R拮抗薬YNT-707の構造から作動活 性を有する誘導体を見出すために、モルフィナン骨格の変換および簡略化を進めていく。また、OX2R作動薬YNT-185の構造からモルフィナン骨格を有する拮抗薬に近づける誘導化も行い、新規なOX1R作動薬の取得を目指す。合成した誘導体はin vitro活性試験を行い、作動活性ならびに拮抗活性を評価する。ヒット化合物は、第一次評価で0.1 μMでEfficacy = 30% of orexin A以上を有し、第二次評価におい てEC50 = <10 μMを有するものとする。 ②OX1Rに選択性の高い作動薬の薬理評価 OX1Rに選択性が高い作動薬YNT-1499について、覚醒に与える影響をマウスにて調査を行ったところ、プレリミナリ ーな結果としてOX2R作動薬YNT-185と同等の覚醒効果があることが分かった。そこで、最終年度はYNT-1499を用いた更なる薬理試験を実施する。具体的には、OXR拮抗薬前処置のマウスを用いた覚醒への影響や自発運動量へ与える影響について検討を行う。 また、①で良好な活性を示すものが見出された場合、同様のマウスを用いた実験を行う。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] Design and synthesis of orexin 1 receptor selective antagonists2017
Author(s)
Sayaka Ohrui, Naoshi Yamamoto, Masahiro Yata, Takahiro Okada, Tsuyoshi Saitoh, Noriki Kutsumura, Yasuyuki Nagumo, Yoko Irukayama-Tomobe, Yukiko Ishikawa, Yasuhiro Ogawa, Shigeto Hirayama, Masashi Yanagisawa, Hiroshi Nagase
Organizer
Tsukuba Global Science Week (TGSW) 2017
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