2016 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the Development of Clinical Free Radical Imaging Systme
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16H05113
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
内海 英雄 静岡県立大学, 薬学部, 客員教授 (20101694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 博 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40336590)
賀川 義之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (90397505)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNP-MRI / 動的核偏極 / イメージング / ESR / フリーラジカル / レドックス / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内には、活性酸素やミトコンドリア電子伝達系代謝中間体フリーラジカル、メラニンラジカルなどのフリーラジカルが存在し、恒常性維持や病態発症に深くかかわることが示唆されている。動的核偏極(DNP)-MRI はフリーラシジカルと磁気的相互作用している水分子の水素核をESRにより偏極しMRIで画像化する新たなイメージング法である。本研究を開始するにあたり種々のDNP-MRI 装置を開発し基礎実験を進めてきた。本研究では、この装置の臨床応用に向けた非臨床基礎研究を行うことを目的とした。 研究計画調書作成時は九大特任教授であったが、2016年3月より静岡県立大学薬学部客員教授として研究活動を開始したので、研究体制を変え新たな研究実施計画を立て交付申請を行った。九大の大型装置を用いた実験の代わりに、既に行ってきた基礎実験結果の解析と小型装置の試作を進めることとし、静岡県立大学に研究環境を整え研究補助員と共に解析を進めることで次の知見を得た。 1)小型装置を試作するために必要な物品を九大から静岡県立大学に移管換えを行うとともに不足物品を購入し、先の科研費で行った研究データの作動状態を確認し、多量の画像データを解析した。2)種々のフリーラジカルなどから成るファントムと試作ESR用コイルを用いたDNP-MRI実験から得た画像解析データを詳細に解析し、有効なパルスシークエンスを探索した。3)ファイバー型温度計測装置で用いたファントム実験での結果を解析し、SAR(皮膚の温度上昇)抑制に適したESRコイルの形状を検討した。4)種々の画像データを論文発表の観点から解析および洗い直しを進め、ほぼ十分なデータ解析を終了した。 これらは、学会でポスター発表を行い、本年7月に米国で開催の国際会議で招待講演を行う予定であり、論文として執筆中である。また、本研究課題に関連した研究成果を解析し学術誌に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記述した通り、当初予定していた大型DNP-MRIでの新たな実験は出来なかったが、本研究課題の目的を達成するために必要な研究環境を新たに整えることで、移籍直前までに蓄積した膨大な実験結果の解析を進めることで、非臨床研究に関する多くの知見が得られた。 加えて本研究課題遂行に必要な装置の開発研究に着手し、平成29年度の研究推進に必要な研究環境を十分に整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題「新規臨床用ラジカルイメージング装置開発に向けた非臨床基礎研究」は新たなイメージング手法であるDNP-MRIを利用して臨床装置に応用するための基礎研究を推進することである。DNP-MRIは動的核偏極(Dynamic Nuclear Polarization)を用いてフリーラジカルを間接的に画像化する新しい方法で、装置開発が必要なため世界的に研究報告が少ない。 申請者はこれまで科学研究費補助金基盤研究(A)などの助成を受け装置開発を行いつつ基礎実験を重ねてきたが、データ解析が十分でなかったため論文発表に至っていなかった。また、装置開発も必要な系統的基礎データのフィードバックが十分でなかった。 研究開始初年度の28年度に研究設備の一部を静岡県立大学に移管換えし、不足するガウスメーターなどの計測機器や工具を購入し、概ね研究環境は整った。 そこで、今後の研究推進方策として、29年度では、昨年度から行ってきたデータの解析を引き続き進めると共に、簡易DNP-MRI装置を試作すべく、1)永久磁石および回転系を試作外注し簡易測定装置を組み上げ、MRI模擬永久磁石の回転下での検出部近傍での渦電流と静止傾斜磁場コイルへの誘導電流およびMRI・ESR磁場の時間変化を解析する。2)静止傾斜磁場コイルおよびESR磁場コイルについて試作改良を行い、MRIおよびESRでの発生磁場の3次元空間分布に関する基礎知見を得る。3)DNP-MRI装置で推定される種々のパルスシークエンスやESR励起条件を考慮し、装置のコンピューター制御系を試作する。などの実験を行い必要な系統的基礎データを集積する。 上記29年度に得られる成果をもとに最終30年度では簡易DNP-MRI装置および関連装置を用いて非臨床基礎研究を進め、新たな装置の具体化への方向を示す。
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Research Products
(6 results)