2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanisms and significance of Ca2+ channel-epigenetics coupling
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16H05140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 泰生 京都大学, 工学研究科, 教授 (80212265)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カルシウムチャネル / エピジェネティクス / 副サブユニット / ヒストン修飾 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
Ca2+チャネル-エピジェネティックス連関における要であると考えられる、電位依存性Ca2+チャネル副サブユニットであるbetaサブユニットの役割を、チャネル形成サブユニットであるalpha1サブユニットのそれに比較した。前シナプスの足場タンパク質であるRIMにはlong型のRIM1とRIM2、short型のRIM3とRIM4があり、前者はalpha1とbeta両者に、後者はbetaのみに会合する。RIM1とRIM2は、神経伝達物質を含むシナプス小胞が前シナプス膜に融合するActive Zoneの極近傍に、融合に必要なCa2+を供給するCa2+チャネルを係留させる。また、long型、short型ともにCa2+チャネルの不活性過程を強く抑制し、前シナプスへのCa2+流入活性を維持させる。今回は、alpha1とbetaが、RIM1或いはRIM2との複合体形成により、どのようにして電位依存性Ca2+チャネルの不活性過程を強く抑制するかを解析した。RIM2はRIM1に比べても、より強くCa2+チャネルの不活性過程を抑制する。これには、alpha1のC末端領域が重要である。このC末端領域の欠失により、RIM1による不活性過程の抑制の程度は影響されないが、RIM2による不活性過程の抑制はRIM1によるそれと同程度まで減弱することから、alpha1 C末端領域はRIM2独自の相互作用によりCa2+チャネルの機能調節に重要であることが分かった。一方、betaはalpha1のI-II linkerに会合し、C末端領域の欠失によっても依然としてRIM1とRIM2はCa2+チャネルの不活性過程を強く抑制することから、Ca2+チャネル-RIM-シナプス小胞の複合体形成においては、betaが要の役割を担うことが分かった。alpha1はむしろ補助的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1(イオンチャネル-エピジェネティックス連関の新規分子機構の探究)においては、beta4-HAT1相互作用の解析、およびそれを中心とした複合体の解析が順調に進行している。細胞質画分と核画分それぞれに着目し、 核移行で複合体がどう変化するかの基本的知見も得る。実際に会合が生じているかは、蛍光タンパク質間のFRETの細胞内観察により確認を取る系の開発にも成功した。また、膜電位の脱分極による表面膜の電位依存性Ca2+チャネル複合体からのbetaサブユニットの脱離に関しては、全反射蛍光顕微鏡による観察にも成功した。さらに、シャペロンタンパク質が新たなbeta4会合タンパク質として得られ、質量分析により分子同定が進んでいる。課題2(イオンチャネル-エピジェネティックス連関の生物学的意義の探究)においては、まず、beta4サブユニットの条件的KOマウスを作製する。本マウスでは、beta4遺伝子の第4エクソンの欠失により、SH3及びGuanylate Kinase領域などの重要領域を全て欠くbeta4変異体が産生されるデザインとなっている。また、海馬スライスからの多点神経活動電位の測定を再開した。以上の点から、計画は概ね順調に進行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
複合体の構成タンパク質の発現・機能の欠失・阻害により、分子機構・シグナル伝達にどのような変化・異常が生じるかの解析へと進む。beta4サブユニットのFloxed条件的KOマウスにTamoxifen誘導性のCre遺伝子導入によるbeta4の欠失等の処理を加えた培養神経細胞を調製し、複合体の形成、核移行の変化・異常を解析する。また、どの遺伝子とのクロマチン形成に寄与するヒストンH3・H4のアセチル化 (或いはH3リン酸化)が影響を受けるか、抗ヒストンH3アセチル化(H3リン酸化)抗体を用いたクロマチンの免疫沈降とそれに含まれるゲノムDNAの配列解析(ChIP-seq)を遂行することにより明らかにする。また、裏付けとして、beta4サブユニットを含む会合体が制御する遺伝子を明確にするために抗beta4抗体を用いたChIP-seqも遂行する。さらに、beta4サブユニットのFloxed条件的KOマウスにCA3領域錐体細胞選択的にCreリコンビナーゼを発現するマウスとの掛け合わせ、海馬の錐体細胞に、それもCA3領域に選択的なノックアウトマウスを作製する。多点電極計測(MED)システムにより、Carbachol によるムスカリン受容体刺激が惹起する活動電位振動を、CA3領域において測定する。
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[Journal Article] Molecular and functional dissection of RIM protein multi-point interaction with P/Q-type Ca2+ channel CaV2.1 α1 subunits2017
Author(s)
Hirano M, Takada Y, Wong CF, Yamaguchi K, Kotani K, Kurokawa T, Mori MX, Snutch TP, Ronjat M, De Waard M, Mori Y
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 292
Pages: 1-17
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant