2016 Fiscal Year Annual Research Report
tissue distribution and toxic mechanism of indium nano particles
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16H05257
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 昭代 九州大学, 医学研究院, 講師 (10136484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 美由紀 九州大学, 医学研究院, 助教 (30156674)
小椋 康光 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (40292677)
古閑 一憲 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (90315127)
米本 孝二 琉球大学, 医学部, 特命教授 (90398090)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 衛生 / 産業保健 / インジウムナノ粒子 / 臓器障害 / 体内動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】職業性インジウム吸入による肺障害が疫学調査や動物実験により確立したが、体内に取り込まれたインジウム(In)の肺をはじめとする体内臓器の分布は明らかではない。今回、液中プラズマ法によって作製したInナノ粒子をラットの皮下に投与し、Inの体内動態について評価した。 【方法】液中プラズマ法によりInナノ粒子(In:In(OH)3;8:2)を作製し、1次粒子および2次粒子の平均粒子径は6 nmおよび315 nmであった。実験動物としてWistar ラット(♂)を用いた。ラット皮下にInナノ粒子懸濁液10 mg In/kgを1回投与し、投与後1日、1週、4週、12週、36週後に安楽死させ、肝臓、腎臓、脾臓、肺、脳、副腎、骨髄、大腿骨、血清を採取した。36週時に解剖するラットを代謝ケージ内で各評価時の前日から1日間飼育し、糞および尿を採取した。各臓器、血清、糞、尿は酸湿式灰化後ICP-MSを用いてインジウム濃度を測定した。 【結果および考察】各臓器のIn濃度は36週まで経時的に増加し、36週時点での各臓器の合計累積In蓄積割合は皮下投与量の約1%であった。糞および尿からInはほぼ同じ割合で排泄され、各々投与量の約2%が排泄したと推計された。脾臓と副腎のIn濃度は他の臓器に比べて高値で推移したが、臓器障害発現とIn濃度との関連は明らかではない。しかし、ラットを用いたInPの吸入曝露実験では副腎腫瘍の増加が報告されており、今後の検討が必要である。 Inナノ粒子を皮下投与した場合には、大部分は投与部位に沈着し、Inの体外排泄は非常に遅いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度はインジウムナノ粒子の作製が順調にすすみ、ラットを用いたインジウムナノ粒子の皮下投与実験を行うことができた。皮下投与後、36週まで経時的に体内臓器のインジウム濃度および尿や糞中に排泄されるインジウム量の測定を行うこことができ、当初の目的を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度はインジウムナノ粒子をラットの皮下に投与し、経時的に体内臓器のインジウムの沈着、体外排泄について解析を行った。その結果、経時的に各臓器中のインジウム濃度は増加したが、36週時点での各臓器の合計累積In蓄積割合は皮下投与量の約1%、糞、尿中の排泄量は投与量の約2%であり、Inナノ粒子を皮下投与した場合には、大部分は投与部位に沈着していることが明らかになった。本年度はインジウムナノ粒子の投与経路の違いによる体内動態について評価するために、インジウムナノ粒子をラットの気管内に投与し、皮下投与時と同様に36週間の観察期間中の体内動態について評価を行うものである。
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