2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05321
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中森 雅之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60630233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 筋強直性ジストロフィー / トリプレットリピート |
Outline of Annual Research Achievements |
筋強直性ジストロフィー(MyD)は、成人で最も多い遺伝性筋疾患で、骨格筋だけでなく、心筋や脳など多臓器が侵される。本症では、伸長したCTGリピートから転写された異常RNAが、スプライシング調節機構を障害して広汎なスプライシング異常を引き起こす。本研究では、MyDの病態の中心となる異常RNAをターゲットとして、核酸医薬や低分子化合物を用いたMyD治療法を確立する。特に、医学だけでなく薬学・化学生物学の革新的技術を応用して、MyDの全身症状を統合的に改善する、安全性の高い包括的治療法の確立を目指している。当該年度は、まず異常RNAを直接分解する作用をもつ新規修飾核酸含有Gapmer型アンチセンス核酸の配列・構造の最適化を、MyDモデル細胞を用いて行った。その結果、異常RNAを90%以上抑制し、スプライシング異常を正常に回復させるアンチセンス核酸配列・構造を同定した。また、異常RNAの毒性を低減させる効果をもつ低分子化合物の開発についても、複数のペンタミジン誘導体の異常RNA凝集体形成抑制効果をMyD細胞モデルで実証し、一部はMyDモデルマウスへの投与でもスプライシング異常や筋強直症状の改善を確認している。さらには、疾患の原因となるCTGリピート伸長のメカニズムに、リピート周囲のCpGメチル化の異常亢進やクロマチン構造変化が影響していることをMyD患者筋組織や筋芽細胞ならびに患者由来iPS細胞を用いて明らかにしたほか、DNAリピート結合低分子化合物によるCTGリピート伸長抑制効果もリピート伸長病細胞モデルで確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MyDへの包括的治療法確立へむけ、異常RNAに作用(分解・毒性低減・リピート伸長抑制)する核酸医薬および低分子化合物の開発は、ともにおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
配列・構造の最適化を終えた核酸医薬について、モデル動物への投与を開始し、中枢神経系や骨格筋・心筋組織への移行性ならびに異常RNA抑制効果の検証を開始する。異常RNA毒性低減効果を持つ低分子化合物についても、MyDモデルマウスへの投与実験をへて、有効用量や治療プロトコールの確立を目指す。また、疾患で最も重要な症状である筋萎縮の原因となるスプライシング異常の同定については、重要型のMyDである先天型MyD生検筋を持ちいて、RNA-seqなどの網羅的解析を行う。
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Research Products
(15 results)