2016 Fiscal Year Annual Research Report
子宮選択的Pten変異による体癌自然発症マウスを用いた増悪因子と作用機序の解析
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16H05470
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大黒 多希子 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (30767249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩 金沢大学, 医学系, 教授 (30252456)
高倉 正博 金沢大学, 附属病院, 准教授 (20313661)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮体癌の発症率は年々増加しており、新しい予防法と治療法の開発が求められている。本研究では、遺伝子改変により作製した子宮体癌モデルマウスを用いて、子宮内膜上皮の過形成から類内膜腺癌、さらに遠隔転移に至る過程を包括的かつ経時的に解析し、子宮体癌の発症と進展に関与する危険因子の同定とその作用機序の解明を試みる。
本年度は2種類の子宮選択的Pten欠損マウスを用いて、卵巣ステロイドホルモン(エストロゲン及びプロゲステロン)が子宮体癌の発症と進展にどのように影響するかについて解析を開始した。子宮選択的Pten欠損マウスは、子宮体癌を自然発症する既存のPten-PRcreマウスと、今回新たに作製した子宮内膜上皮の過形成を自然発症するPten-LTFcreマウスを用いた。一般に子宮体癌の発症と進展にエストロゲンは増悪因子として、プロゲステロンは抑制因子として働くとされている。しかしながら、子宮体癌を自然発症するPten-PRcreマウスにエストロゲンもしくはプロゲステロンを長期間投与した実験では、両者ともに増悪因子として働く可能性が示唆された。現在、これらの子宮組織を用いた組織学的解析および分子生物学的解析により、増悪因子として働く原因を探っている。また、子宮内膜上皮の過形成を自然発症するPten-LTFcreマウスでも同様の長期投与実験を行っている。これとは別に、Pten欠損により発現が変化する遺伝子群を探索するために、Pten-LTFcreマウスの子宮上皮細胞及び 間質細胞を分離し、マイクロアレイによる網羅的解析を行った。現在、個々の遺伝子について発現解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は子宮体癌モデルマウスの作製を予定どおり行い、卵巣ステロイドホルモンの長期投与実験を行うことができた。また、予定していたマイクロアレイ解析を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き子宮選択的Pten欠損マウスを用いて卵巣ステロイドホルモンの子宮体癌の発症・進展に対する影響を解析するとともに、その作用機序について検討する。また、炎症の惹起、免疫の抑制、ストレスなどの負荷が、過形成から類内膜腺癌、さらに遠隔転移に至る過程にどのような影響を与えるか解析する。また、マイクロアレイ解析によって得た遺伝子群について、子宮体癌の発症・進展に対する影響をin vivoとin vitroの両面から検討していく。
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