2016 Fiscal Year Annual Research Report
多軸鍛造技術を応用した次世代MDF純チタンの医療材料への展開
Project/Area Number |
16H05525
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
木本 克彦 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70205011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 力廣 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10223760)
星 憲幸 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (20339782)
三浦 博己 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30219589)
早川 徹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (40172994)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高強度純チタン / 多軸鍛造法 / 生体適合性 / インプラント体 / 表面処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究チームは多軸鍛造法(MDF)を駆使することにより、新たな高強度純チタンの開発に成功した。本プロジェクトの目的は、高強度MDF純チタンをインプラント体や顎骨再建プレートさらにはクラウン・ブリッジ・義歯(フレームやクラスプ)などに応用展開するための基盤研究を行い、歯科医療材料としての実用化を目指す。 今年度は、3つの実験を行い、学会発表を行なった。 実験1.MDFチタンの物性の確認:多軸鍛造法(MDF)により 新たにMDF純チタン(Grade2)の製造を行った。その結果、これまで通り、純チタンに比べて、 Vickers硬さが2倍、最大引張応力は2.5倍に向上し,チタン合金(Ti-6Al-4V合金)を越える高強度と高延性を達成していた。また、高強度でありながら弾性率は1/2まで低減していることも確認された。 実験2. 超微細粒構造における適切な酸処理条件の探索:MDF純チタン表面は、従来の純チタンに比べて超微細粒構造を呈しており、酸処理を行うことで、これまでのチタン表面にはないナノレベルの表面構造が生成された。しかしながら、この新表面構造は酸処理条件により大きく左右されることから、走査型電子顕微鏡(SEM)で確認しながら、適切な酸処理条件の探索を行った。その結果、規則正しい微細多孔性の表面構造となる最適な酸処理条件を見出した。(特許申請中) 実験3.細胞接着能試験:酸処理されたチタン表面に対して、骨芽細胞様細胞の接着(3時間)と増殖(3日,7日)についてin vitro実験を行った。その結果、3時間後の細胞接着において,MDF 純チタンは純チタンよりも細胞接着数が少なかった。それに対して3日後と7日後の細胞増殖において、 MDF 純チタンは純チタンよりも、有意な細胞増殖を認めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究計画に従い、以下の3つの実験を行った。 1.MDFチタンの物性試験:Vickers硬度や最大引っ張り強さなど基本的なMDFチタンの物性を計測し,その結果を論文にまとめている。 2、MDFチタン表面の酸処理法:MDFチタンの特徴でもある超微細構造を生かしたナノレベルの表面構造を生成する適切な酸処理法を開発し、現在特許申請のための準備を行っている。 3、細胞接着・増殖能力試験:酸処理したMDFチタン表面には、従来の酸処理したチタン表面に比べて、骨芽細胞様細胞の増殖が有意に早いことが認められ、その結果を1の結果とともに論文にまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
1、インプラント・顎骨再建治療へ応用するための骨適合性実験(in vivo) 1)骨適合性の評価(ラット):6週齢のWistar系雄性ラットの上顎第一臼歯を抜歯後,各種表面処理を施したスクリュータ型チタンインプラント(JIS2種およびMDチタン,直径1.5mm、長さ3.0m)を即時埋入する.埋入3週間後,9週間後に各インプラント体を上顎骨組織とともに摘出する.また,インプラント周囲の新生骨形成を調べるために屠殺2週間前にアリザリンレッドを,屠殺1週前間にカルセインを投与する.ホルマリン固定,アルコール系列による脱水後,メチルメタクリレート樹脂にて包埋し,非脱灰研磨標本を作製する.共焦点レーザー顕微鏡にて新生骨の蛍光ラベリングを観察し,さらに,塩基性フクシンとメチレンブルーによる組織染色を行い,病理組織学的に観察する.動物実験は鶴見大学歯学部動物実験委員会の承認を得て行う. 2)骨適合性の評価(犬):実験動物にはビーグル犬を使用し,下顎左右前臼歯部を抜去し後、純チタンスクリュー型インプラント(直径3.3mm,長さ8mm,表面性状:酸処理)とMDF高強度純チタンスクリュー型インプラント(川本重工)を埋入する。埋入90日後、MicroCTによる各種画像解析と病理組織学的に観察する.なお,実験動物の選択, 管理, 外科手術式については神奈川歯科大学動物実験倫理員会の承認を受けて実施する予定である。 2、CAD/CAMシステムで製作したクラウンの臨床応用への基盤研究 CAD/CAMシステムを用いてMDFチタンクラウンの製作を開始する。本年度は、MDF高強度純チタンの①切削加工性、②研削性、について検証する。
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