2018 Fiscal Year Annual Research Report
上皮膜イオン濃縮機構による全身水収支診断とドライマウス治療戦略
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16H05527
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
中本 哲自 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (30514989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒岩 昭弘 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (10195571)
山口 正人 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (30410434)
北川 純一 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50373006)
冨士 岳志 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (20549323)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔乾燥症 / 唾液腺 / 糖尿病 / イオンチャネル / 重炭酸イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔乾燥症は口腔管理に多大なる影響を及ぼす。それは超高齢社会においては歯科疾患に限らず呼吸器疾患などにも関与する可能性がある。その多くは全身疾患に関連した薬剤の投与に伴うものであるが、発症メカニズムの詳細が不明あるいは多因子によるものであるため、対症療法を主体とした治療法が一般的である。本研究では分泌減少を引き起こす腺組織周囲のイオン環境や代謝性疾患が分泌減少にどのようにかかわっているのか明らかにすることを目標とし、唾液腺機能回復による口腔乾燥治療の新基軸を確立することをめざしている。 唾液分泌には血管から体表への水分子の移動が必要であるが、その移動は上皮細胞が作り出すイオン濃度勾配により受動的に行われるとされている。イオン勾配の端緒となるのは陰イオンとされているが従来よりクロールイオンが主要な役割を果たしていると報告されている。本年度は外部研究機関協力のもと、クロールイオン以外のイオンの果たす役割についてマウス顎下腺を用い検証した。副交感神経刺激ではクロールイオンが主体となり唾液分泌を生じていたが、副交感神経と交感神経の混合刺激では唾液分泌量は減少するもののクロールイオンの要素は低下し、重炭酸イオンの要素が強くなることが明らかになった。加えて、その重炭酸依存性の分泌は水分泌に最も重要な膜タンパクであるNa-K-2Cl共輸送担体の影響を受けていない。そのため近年問題となっている高齢者の歯頸部齲蝕に対し、重炭酸イオンの緩衝能を活用することにより新規治療法構築につながる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外部研究協力機関との共同研究を推進することができ、当初の計画通りの進行状況ではないが、予測していなかった事象の発見につながったため、おおむね順調と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
浸透圧コントロールと重炭酸イオンの分泌への関与について、動物実験にて研究を追加し、ヒトサンプル実験を実施し、結果を取りまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)