2016 Fiscal Year Annual Research Report
海洋景観遺伝学・ゲノム学アプローチによる黒潮圏のサンゴ個体群の維持機構の解明
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16H05621
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
中島 祐一 沖縄科学技術大学院大学, 海洋生態物理学ユニット, 研究員 (50581708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
御手洗 哲司 沖縄科学技術大学院大学, 海洋生態物理学ユニット, 准教授 (80567769)
中村 雅子 東海大学, 海洋学部, 講師 (50580156)
酒井 一彦 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50153838)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 海洋生態 / 海洋保全 / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
造礁サンゴの個体群の減少が世界各地で報告されている。2016年もオーストラリアのグレートバリアリーフや日本の石西礁湖などで大規模なサンゴの白化が報告された。本研究では、北西太平洋域を対象として、景観遺伝学・ゲノム学的解析によりサンゴ個体群の維持機構を解明することを目的とした。 今年度は、主に日本の南西諸島を中心にサンゴ採取を行った。対象としたアザミサンゴ属、ハナヤサイサンゴ属、トゲサンゴ属、ショウガサンゴ属のうち、アザミサンゴ属、ハナヤサイサンゴ属に関しては十分な数のサンプル数を揃えた。また、アザミサンゴ属においては、次世代シーケンサーを用いて遺伝マーカーであるマイクロサテライトマーカーを新規に9座開発し、以前開発した既存の11座と合わせて計20座のマーカーが利用可能となった。ハナヤサイサンゴ属においてもマーカーを13座開発した。また、これまでに報告されていた既存のマーカーのうち日本の個体群には14座有効であることが判明したため、計27座が利用可能となった。今後は、これらのマーカーを用いて集団遺伝解析を行う予定である。 さらに、ミトコンドリアDNAマーカーによる分子系統解析結果から、日本の南西諸島のハナヤサイサンゴ属は未報告のものも含めて7タイプ存在することが判明した。しかし、破片分散などに起因する無性生殖の頻度は、タイプによって大きく異なっていた。今後、この中から十分なサンプル数を確保できそうなタイプに着目し、集団遺伝解析を順次進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大規模白化などの影響で、一部の地域での試料採取をまだ終えていない。未採取の地域での採取を次年度に行うことで、今年度終えることができなかった解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
対象としたアザミサンゴ属、ハナヤサイサンゴ属、トゲサンゴ属、ショウガサンゴ属のうち、トゲサンゴ属、ショウガサンゴ属に関しては生息数が少なく、集団遺伝解析に十分な数のサンプル数を揃えることができなかった。今後、採取地点数を増やすことでサンプル数を確保するか、アザミサンゴ属、ハナヤサイサンゴ属を中心とした解析を行う必要がある。 さらに、これらのサンゴのゲノム情報を取得して、環境変動や個体群維持に関連する遺伝子領域の特定も行う。
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