2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H05670
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中川 眞 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任教授 (40135637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 オリザ 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90327304)
藤野 一夫 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (20219033)
岩澤 孝子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40583282)
梅田 英春 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (40316203)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アーツマネジメント / 社会的包摂 / ポストグローバル化 / ポストコロニアル / 社会空間 / デモクラシー / 社会正義 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績として、論文等などの成果公表、調査、国際研究集会が挙げられる。 成果発表については、研究代表者(中川眞)は国際学術集会で3つの英語発表を行った。特に、2018年3月ガジャマダ大学で行った基調講演は地理学における社会空間探求を踏まえた上で、アジアにおける社会包摂型アーツマネジメント実現の可能性を論じるものであった。分担者の岩澤孝子の発表(英語)はタイにおける人形劇団グループのコミュニティ活動を論じるもので、新知見である。分担者の藤野一夫の編著書はドイツを事例としているものの、地域主権についての論考であり、アジアへの応用可能性を示唆する知見となった。 現地調査は主としてベトナム(ハノイ)、カンボジア(プノンペン、シェムリアップ)、インドネシア(ジョグジャカルタ)、沖縄で実施した。ベトナムではかつて中川が実施したホーチミンにおけるオルタナティブなアートスペースの調査データをベースとして、ベトナムでの社会包摂型アーツマネジメントの実態の全容解明への更なる一歩となった。18ヶ所のアートスペース、美術館、芸術系大学などにてインタビュー調査を行った。カンボジア(岩澤)では2都市の計5ヶ所を訪問インタビューした。インドネシアでは創造音楽祭の調査を行った。沖縄(中川)では佐喜真美術館、若狭公民館、ひめゆりピースホールなどを訪ね、インタビューを実施した。沖縄では基地問題が社会的課題として大きく取り上げられるが、それとともに貧困、格差拡大、民族的マイノリティなどいったアジアと共通する社会問題と向き合う活動がアート関連で活発化していることが確認された。 国際学術集会は中川が主宰する形で、第12回アジア・アーツマネジメント会議を沖縄で、第16回都市文化研究フォーラムをバンコクで、第16回都市研究フォーラムをジョグジャカルタで開催し、それぞれ研究分担者も参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【調査】については、インドネシアのジョグジャカルタ市で行われた「子どものための創造音楽祭」、ならびにベトナムのホーチミン市、フエ市、ハノイ市における俯瞰調査については、ベトナムの対象都市をハノイに絞ったという変更点はあるものの、予定通りに遂行した。また、タイで最大規模のコミュニティアートの準備過程も含めた記録化については、本科研とは異なる財源ではあるが、分担者の岩澤が調査を行い、本科研の研究活動に寄与した。ミャンマーにおけるコミュニティベースのアート活動に関する追加調査については、平成29年度のアジア・アーツマネジメント会議の開催地がハノイから沖縄に変更となったため、急遽、沖縄調査へと主眼を移行することとし、実施されなかった。しかしトータルに見るならば、全体の調査の密度、得られたデータなどの質・量は予定通りであったといえる。 【国際集会開催ならびに発表】については、アジア・アーツマネジメント会議の開催地をハノイから沖縄に変更した以外は、ジョグジャカルタにて第16回都市研究フォーラム(平成30年3月)、バンコクにて第16回都市文化研究フォーラム(平成30年3月)を計画通りに開催し、科研メンバーによる基調講演あるいは口頭発表が行われた。またドゥブロヴニク(クロアチア)のIUCで開催されたフォーラム"The University as Urban Cultural and Social Engine"における中川の発表も予定通り行われた。 【出版等】については、昨年度に引き続き、学術誌‘Journal of Urban Culture Research’の編集に参与。また中川と研究協力者である雨森の編集による単行本『社会包摂型アーツマネジメント』の編集を計画通りに行った。 以上、2年目の研究活動は概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
【調査】については、ハノイを拠点にして、検閲・言論統制のあるなかでのコミュニティベースのアート活動の可能性、急激な観光開発による景観や文化の破壊に抗する運動などに焦点をあてる。タイでは、昨年度に引き続き、コミュニティアート・フェスティバルの調査を参与観察型で行う。これまでインドネシア、タイについては必要なデータが蓄積されたため、比較的手薄いフィリピンあるいはマレーシア、カンボジアにおいて補充調査を実施する。 【国際集会開催ならびに発表】については、バンコク(チュラロンコン大学)にて第17回都市文化研究フォーラムを、ジョグジャカルタ(ガジャマダ大学)にて第17回都市研究フォーラムを開催し、研究代表者ならびに分担者が基調講演あるいは研究発表を行う。また、ハノイにて第13回アジア・アーツマネジメント会議を開催する。その際には、Vincom Center for Contemporary Artのアートディレクターである遠藤水城氏の協力を得て、同センターとの共同開催とする。 【出版・発信等】については、チュラロンコン大学と大阪市立大学の共同編集である‘Urban Culture Research’ Vol. 16の編集に携わり、研究成果を発信する。また本科研の成果として中川眞・雨森信(編著)『社会包摂型アーツマネジメント入門』(水曜社)を刊行する(経費は出版社負担)。そのほか、個々の研究者が論文・口頭発表という形で成果を社会・学界に還元する。
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Research Products
(16 results)