2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05683
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 秀典 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (20183246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 佑介 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (50452298)
稲本 泰生 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70252509)
船山 徹 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70209154)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 考古学 / 仏教学 / 美術史学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)中国社会科学院考古研究所との共同編集による岡村秀典監修『雲岡石窟』第三期日本語版(全4巻9冊)を科学出版社東京・国書刊行会から発行した。本書は岡村のほか研究分担者の稲本泰生・向井佑介が執筆したほか、中国から3名、アメリカから1名が執筆に参加し、雲岡石窟について最新の研究成果を公表した。しかし、その内容は高度に専門的であり、定価が38万円+税と高価なため、その総監修を務めた岡村秀典は『雲岡石窟の考古学 遊牧国家の巨石仏をさぐる』京大人文研東方学叢書3を臨川書店から出版し、成果を日本の一般読者に向けて発信した。 (2)人文研と東京大学に所蔵されている戦前の石窟写真を整理し、北京の清華大学出版社から出版予定の『清末民初中国文化遺産図片史料集』石窟巻(全4巻)の編集を進めた。 (3)人文研に所蔵する龍門石窟造像記拓本を整理し、研究分担者の稲本を班長とする「龍門北朝窟の造像と造像記」班において共同研究を進め、稲本泰生・安岡素子編『松本文三郎旧蔵 龍門二十品拓本』東アジア人文情報学研究センター東方学資料叢刊第24冊、および『センター研究年報2017』京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センターとして発表した。 (4)稲本らと陝西省北部の北朝・隋唐・北宋石窟と山西省大同市の雲岡石窟を踏査し、研究分担者の向井佑介や山西大学歴史系の王講師らと山西省中部の北朝石窟を調査した。また、王講師を山西大学の経費で1月から半年間招聘し、北朝文物にかんする共同研究を進めている。 (5)仏教儀礼に用いられた青銅製仏具については、向井と連携研究者の廣川守を同道し、貴州六朝墓出土品の蛍光X線分析と考古学的な調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)人文研に所蔵する龍門石窟造像記拓本の整理と研究については、最古級の拓本である松本文三郎旧蔵「龍門二十品拓本」を発見し、その価値を周知するべく東アジア人文情報学研究センター東方学資料叢刊第24冊として出版した。これは京都新聞や朝日新聞などの記事に取り上げられ、当初計画にはない予想以上の成果であった。また、龍門石窟造像記について稲本を班長とする「龍門北朝窟の造像と造像記」班において共同研究を進め、予想以上のスピードで大きな成果があげられたため、稲本泰生・安岡素子編『センター研究年報2017』京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センターとして公刊した。 (2)現地調査もほぼ期待どおりの成果があった。しかし、成果報告をまとめるにはいたらず、平成30年度の課題となった。 (3)仏教儀礼に用いられた青銅製仏具については、平成28年度に調査した洛陽北魏墓出土品にかんする中国語の報告を執筆し、洛陽市文物考古研究院が発行している『洛陽考古』に投稿した。しかし、修正意見があったため、発表は平成30年度にずれこむことになった。平成29年度に実施した貴州六朝墓出土品の調査報告についても、平成30年度の発表を予定している。 (4)龍門石窟研究院との協定により進めている水野清一・長廣敏雄『龍門石窟の研究』(座右宝刊行会、1941年)の中国語版については、本学と大象出版社との出版契約がおくれており、平成30年度に先送りすることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)龍門石窟研究院との協定により進めている水野清一・長廣敏雄『龍門石窟の研究』(座右宝刊行会、1941年)の中国語版については、岡村秀典を中心に編集作業を進める。 (2)人文研と東京大学に所蔵されている戦前の石窟写真を整理し、北京の清華大学出版社から出版予定の『清末民初中国文化遺産図片史料集』石窟巻(全4巻)の編集を進める。東京大学の平勢隆郎教授の協力のもと、雲岡石窟は岡村、龍門石窟は稲本泰生、鞏県・響堂山・天龍山石窟は向井佑介が分担して編集する。 (3)共同研究を進めている龍門石窟研究院の焦建輝氏を今年12月から3カ月間の予定で当研究所の客員准教授として招聘することになったため、8~9月に岡村・稲本・向井が龍門石窟の周辺に所在する鞏県石窟や水泉石窟など北朝時代の関連石窟を共同調査し、儀礼空間としての寺院複合体(寺院コンプレックス)を総合的に分析する。 (4)共同研究を進めている中国社会科学院考古研究所の李裕群氏を今年5月から3カ月間の予定で当研究所の客員教授として招聘することになったため、岡村を班長とする「北朝石窟寺院の研究」班で共同研究を実施する。
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Research Products
(3 results)