2018 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア都市における包摂型居住福祉実践に関する研究
Project/Area Number |
16H05719
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
全 泓奎 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 教授 (00434613)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 昌樹 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (10244625)
弘田 洋二 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 名誉教授 (60285278)
野村 恭代 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (10461188)
鄭 栄鎭 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任講師 (70748227)
箱田 徹 天理大学, 人間学部, 准教授 (40570156)
コルナトウスキ ヒェラルド 九州大学, 比較社会文化研究院, 講師 (00614835)
川本 綾 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (90711945)
中山 徹 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (40237467)
水野 有香 名古屋経済大学, 経済学部, 准教授 (00588486)
石川 久仁子 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (40411730)
志賀 信夫 長崎短期大学, その他部局等, 講師(移行) (70772185)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 東アジア / 包摂型都市 / 居住福祉実践 / 生産主義 / 居住困窮層 / 社会的不利地域 / 居住支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、類似した社会経済的な発展プロセスを経験する中で、いわゆる開発主義的な福祉制度や実践経験を共有してきた東アジア三ヶ国を研究対象に据え、とりわけ居住福祉政策と実践にかかわる各国都市への実地調査を中心に研究を進め、東アジアにおける居住福祉実践モデルの特徴を明らかにすることを目的にしている。そのため、2018年度は、東アジアの都市における居住福祉実践の比較研究に向けた都市間の交流を強化していくための拠点として発足させた、「東アジアインクルーシブ都市ネットワーク・ジャパン」との共同研究を進める形で研究を実施した。まず、科研課題を深めるための研究会を継続して開催した。これには、科研課題にかかわる研究分担者や研究協力者に加え、居住福祉実践にかかわる研究者や実践家、そして都市自治体の職員に多く加わってもらう形で実施した。研究会では、東アジア諸国に対する政治社会的な理解や都市が抱える社会政策的な課題等を取り上げた。海外実地調査では、ソウル市、台北市、香港市で、都市内の遊休資源等を活かしたコーハウジングによる居住困窮層への支援に関連する調査を実施した。帰国後は、調査内容を深めるため報告会を行い、調査実施から得た知見をまとめ、本研究代表者の所属先が発行する「ブックレットシリーズ」に成果の一部を公開した。また、本研究代表者が毎回企画調整を担当している、「第8回東アジア包摂都市ネットワークワークショップ」を香港で開催した。なお、東アジアの都市間の比較研究に向けた理論的な枠組みを探るための試みとして、研究分担者及び研究協力者と共同で、翻訳書(『東アジア福祉資本主義の比較政治経済学:社会政策の生産主義モデル』)を本年2月に東信堂から刊行した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度(1999年2月10日刊行)は、研究分担者や協力者との共同で、東アジアの都市間の比較研究にかかわる枠組みとして多くの示唆を与える書籍(『東アジア福祉資本主義の比較政治経済学:社会政策の生産主義モデル』)を、研究成果の「理論編」という位置づけで翻訳刊行した。これに次いで本年度は、これまでの調査内容をまとめ、上記に続く「実践編」として刊行する予定である(『東アジア都市の居住と生活:福祉実践の現場から(仮題)』、東信堂)。研究分担者や協力者に原稿を執筆してもらい、既に出版社に入稿済みの状態である。今月末以降、初稿の校正に入り、6月開催予定の「日本居住福祉学会全国大会」に間に合わせる形で刊行を進めている。なお、国際共同の研究集会として、「第8回東アジア包摂都市ネットワークワークショップ」を香港で開催するなど、国内外の研究者間の交流も進めた。今年度は、「第9回東アジア包摂都市ネットワークワークショップ」を台北で開催する予定で進めている。調査の面では、上記の「実践編」の成果刊行にかかわる、海外実地調査(ソウル市・台北市補足調査)を実施した。調査から得た知見は、研究会で報告するとともに、その一部は、研究代表者の所属先が刊行するブックレットとして刊行し、社会的発信を図った。また、居住福祉実践研究にかかわる都市間交流のプラットフォームを形成するため、国内外の基盤づくりを進めている。日本や韓国では昨年度に、「東アジアインクルーシブ都市ネットワークジャパン(2018年2月)」、「韓国抱擁(包摂)都市ネットワーク(2018年6月)」をそれぞれ立ち上げた。台湾でも拠点形成を働きかけており、本年9月開催予定のワークショップまでに、台湾の組織形成に向けた準備を進めるなど、国際共同による研究実施の体制の面においても大きな成果を挙げた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、当初の計画通り、台北市で9月に開催する「第9回包摂都市ネットワークワークショップ」の台北側との共同企画を実施し、帰国後に成果の報告会を行う。それと同時に、これまでの調査や国際ワークショップの開催による都市間の比較研究の成果を「見える化」し、なおかつ具体的な実践のプラットフォームとして結実するよう、居住福祉実践にかかわる都市間の交流や、都市間の交流ネットワークを広げる。なお、最終年度に当たる今年度は、これまで共同研究にかかわった、国内外の研究分担者や関連研究者に集まってもらい、研究成果の共有にかかわる国際シンポジウムを開催する。 最後に、これまでの研究成果をまとめ、分担者と研究協力者に分担執筆してもらった書籍を編著として刊行する(『東アジア都市の居住と生活:福祉実践の現場から(仮題)』、刊行は6月予定)。
|
Research Products
(33 results)